奄美市で地域包括ケアフォーラム

シンポジウムでは会場の参加者も交え、奄美市が目指す地域づくりについて考えた

基調講演やシンポジウム
地域づくりは“全員野球”で

 奄美市主催の第2回「地域包括ケアフォーラム~奄美市が目指す地域づくり~」が11日、同市名瀬の奄美文化センターであった。専門家による基調講演や、地元関係者を交えたシンポジウムを開催。人口減・少子高齢化が進展する中、高齢者を含む全ての人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための地域のあり方・つくり方について考え、認識を深めた。

 第1部では相模女子大学の松下啓一教授が「今『地域』再構築のとき~住民が主役の地域づくり~」のテーマで基調講演。松下教授は全国や奄美大島における人口の推移、将来推計人口など示したうえで、「税金だけ、行政だけに任せていた地域づくりではもうもたない」と指摘。地域づくりを野球になぞらえ、「行政・議会だけがプレイするのではなく、観客席から見守っていた市民も加わり9人で野球をやろう。そして市民・企業がもっと力を発揮できるように条件を整備していくのが行政や議会の仕事。私たちの強みである知恵を出し合い全員野球を意識する。それが住民が主役の地域づくり」などと強調した。

 続く第2部のシンポジウムでは松下教授をコーディネーターに、医師会や市議会、住民、民間、行政の立場を代表し5人のパネラーが登壇。同市の現状も踏まえた上で、今後地域づくりをいかに進めていくか。それぞれの立場から意見を出し合い、少子高齢化や人口減少社会に負けない地域づくりについて考えた。

 パネラーのうち奄美地区生活支援コーディネーターの三島照さんは名瀬地区における自治会組織率の低さを指摘した上で「奄美では個々の人は大変思いやりがあり、結いの心を持っているが、それがいったん地域の力・みんなの力として発揮していこうとした時に課題があると思う。地方自治の原点は自治会活動。地域の課題を自分事として捉え、自分に何ができるか一人ひとりが考えていければいい」。市自治会連合会会長の田丸友三郎さんは町内会・自治会組織が解散したり、新たに立ち上げが困難な要因に「役員の成り手不足」をあげたほか、「地域の中で住民同士がお互いに助けたり、助けられたりする『お互いさま』の関係ができあがれば地域はもっと活性化していく」とも述べた。