LCC関西便就航

放水アーチをくぐりながら到着したバニラ・エア関西直行便(写真は奄美空港内)

バニラ2路線目 入込増で地域振興拡大期待
セレモニーや横断幕で歓迎

格安航空会社(LCC)バニラ・エア(五島勝也代表取締役社長、千葉県成田市)は26日、奄美に2路線目の就航となる奄美大島―関西(関西国際空港)線を就航させた。同日は出発する奄美、関西の両空港で開かれた記念セレモニーでは、要望の高かったLCC就航をそれぞれの地元関係者が歓迎。来年夏頃を目指す「奄美・琉球」世界自然遺産登録など今後の入込を追い風に、同社は平均搭乗率80%、年間10万人の利用客を意気込む。

路線就航機(エアバスA320)は午後0時半頃、両空港を出発。1便乗客数180人に対し、初フライトの搭乗率はそれぞれ8割(約150人)と初日の滑り出しは順調だ。

同路線の片道運賃は4780円~で設定。毎日1往復を運航する。予約状況に応じて料金が変動する料金形態を採用している。

同社は2014年7月、奄美大島―成田(成田空港)線を開設。年間乗降客は10万人を突破し、16年は11万8千人が利用。搭乗率は83%となっていた。

同社によると、関西のLCC就航は成田線開設以来、奄美、関西双方から要望が高かったことを挙げ、▽成田線搭乗率が8割以上をキープ▽関西の奄美出身者25~30万人▽世界自然遺産登録による入込期待―などの条件がそろったことを背景に就航を決定。1月、路線開設を発表した。

奄美市笠利町の奄美空港で行われた見送りセレモニーで、同社の石井知祥代表取締役会長は「選択肢の一つとして利用してもらえたら」とあいさつ。同島内の行政機関や観光、経済団体で構成する「歓迎セレモニー実行委員会」の関係者が乗客に地元の特産品入りエコバッグを手渡し、見送った。

関西空港出発便は午後3時頃、奄美空港に到着。空港エプロンでは消防車両2台を使用した放水アーチを機体がくぐると、展望デッキで横断幕を掲げた地元関係者らが手を振り、初便就航を歓迎した。 

搭乗客には2017紬美人から黒糖レイがプレゼントされ、さらに到着ロビーでは関係者が拍手で出迎えたほか、関西空港でのセレモニーに出席した五島社長、金子万寿夫衆院議員、三反園訓知事、朝山毅市長など多くの関係者とともに奄美に降り立った。

出迎えた関係者らを前に五島社長は「多くの要望に応えることができました」と満面の笑みで述べ、改めて平均搭乗率80%との目標を掲げ、「出身者同士、知り合いなどに声をかけ、多くの利用を願う」と呼びかけた。 

大阪市出身で、現在名瀬に住む勢田幸子さんは一家で里帰り。長男・春樹君(中1)は「夏、春休みなどで大阪に行けるのでうれしい」。東大阪市から帰省した同市名瀬の藤島ゆかりさん(40)は「待ちわびていた路線。2年に1回だった帰省頻度も増えそう。家族の帰省だけでなく、両親を大阪に呼びやすい」などと話した。