山ゆり会「奄美の八月踊り」披露

芸術劇場で奄美の八月踊りを披露する山ゆり会。会場からも奄美出身者らの踊りの輪が広がった


客席からステージに上がることはできなかったが、ロビーでは、踊りの輪に観客も参加、シマの八月踊りを楽しんだ


山ゆり会集合写真

東京都民俗芸能大会で
観衆を熱気と興奮に包む

【東京】奄美の熱い風が東京芸術劇場に吹いた――。池袋の東京芸術劇場プレイハウスで、19日に「第48回東京都民俗芸能大会―おどけと笑い―」が開催された。山ゆり会による「奄美の八月踊り」が披露され、席をほぼ埋めた約800人の観衆を熱気と興奮に包んだ。

主催が東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団、東京都民俗芸能大会実行委員会、東京都教育委員会の共催で行われた同芸能大会は、「2017都民芸術フェスティバル」の参加公演。「奄美の八月踊り」は、「新島の馬鹿囃子」「数馬の獅子舞」「佃島の盆踊」「菅生歌舞伎」に続く最後の演目。前日18日からの「大トリ」としてプログラムが組まれた。

たくさんの拍手の中、32人がステージに登場。男性が客席から奥に輪を作り、女性が客席側に輪を広げた。百合のデザインがあしらわれ白地に奄美の海を連想させる藍染が施された、揃いの浴衣でさっそうと演技。ねじり鉢巻きで粋な男性が声を張れば、黄色い大輪を両手に着けた女性がチヂン(太鼓)のリズムとともに 歌を掛け合いながら踊る。

「祝い付け」、「赤木名観能堂」、「浜千鳥」と進んだ曲目は、「さんだまけまけ」の後、いよいよ「六調」へ。会場は一段とヒートアップ、席を立ち通路で踊る、おなじみの光景があちこちに。森山ユリ子さんの唄に導かれた踊りは、拍手や大歓声の中、ロビーにまでなだれ込み大きな輪が広がった。奄美の祭りの景色が、音と踊りと笑顔で彩られた。

この日、2階席から熱心に見ていた成城大学大学院生の岡田伊代さんは、「八月踊りは初めて見ましたが、こんなに盛り上がるとはびっくりしました。面白かったです」と驚きの表情で語り、「奄美の音楽の持つ力を感じました。(奄美を)訪れてみたい気持ちになりましたね」と目を輝かせていた。2日間通して舞台に立ち会った岡田さんによると、前日の最後の演目、阿波踊りでもロビーにまで踊り手たちがあふれることはなかったという。

森山さんや、奄美からこの日のために参加した13人が満面の笑みをたたえる中で、代表の手島義人さんは、「大成功です。東京に奄美の風を送ることができました」と満足げに振り返った。「奄美の八月踊り」は、五穀豊穣に感謝して、 毎年旧 暦8月に踊られる。昨年から組まれた東京で継承する日本各地の芸能枠 として参加したもの。

昨年は、岩手の鹿踊、沖縄のじゅり馬、そして今年は、徳島の阿波踊りと出演した。「山ゆり会」は1998年、奄美市笠利町で発足、会員数は50人、また2011年には、「東京山ゆり会」(森山ユリ子会主、同20人)も発足している。