【4回戦・大島―尚志館】5回裏大島一死一三塁、8番・中村がセーフティースクイズを決め、三走・盛山が生還、5―2とリードを広げる=県立鴨池
【鹿児島】第140回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第9日は1日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民、両球場で4回戦4試合があった。
奄美勢の大島は尚志館に競り勝ち、2季ぶりのベスト8進出を決めた。徳之島は川内商工に打ち勝ち、2005年秋以来、23季ぶりとなる8強入りを勝ち取った。
第10日は2日、両球場で4回戦4試合がある。奄美勢の対戦は組まれていない。
【評】大島は1点を先制された直後の一回裏、5番・瀬川の中前適時打で同点に追いつく。二回は二死満塁から3番・有馬、4番・太月の連続適時打などで3点を勝ち越す。五回表に1点返されたが、その裏、8番・中村がセーフティースクイズを決めて再び3点差とした。エース中村は再三走者を出しながら粘り強く抑えていたが八回、連続四球で2番手・日高にスイッチ。内野ゴロ、犠飛で1点差に詰め寄られたが、後続を絶ち、九回もしのいで1点差を守り切った。
【評】徳之島は三回、3番・澤村の中越え三塁打で先制。更に5番・勇、6番・福井の連続適時打で計3点を先取した。五回に守りのミスが絡んで4点を失い逆転を許す。七回、3番・澤村の右越え2ランで再び逆転に成功すると、9番・仁礼の走者一掃右越え三塁打などで計7点を奪った。七、八回で2点差まで迫られたが、八回途中から再びマウンドに上がったエース澤村が後続を絶ち、打撃戦をものにした。
【4回戦・大島―尚志館】2回裏大島二死満塁、3番・有馬が右前適時打を放つ=県立鴨池
大島は持ち味の「全員野球」(塗木哲哉監督)を発揮して8強入りを決めた。
「これまでと同じく苦しい試合だったけど、自分たちらしい野球ができた」と濱田雄一郎主将。エラーや四死球などミスが絡んで失点したのは反省点だが、「ミスの後をしっかりカバーし、最後まで野球を楽しめた」。
七回まで再三走者を出しながら、2失点で切り抜けていたエース中村が八回、連続四球でピンチを背負う。塗木監督は、リリーフに今大会2試合先発で試合を作った日高想良を送る。
「緊張したけど、投げられるのがうれしかった」と日高。四球で無死満塁と更にピンチが広がったが「2失点はOKと言われて、併殺も取りやすくなったので開き直れた」。内野ゴロ、犠飛で2点は失ったが最後は要注意打者の4番を空振り三振で打ち取った。
一打同点、逆転のピンチだったが「高めと内角は危険だと分かっていたから、しっかり外角で勝負できた」と日高。守る野手も緊張を強いられる場面だが、中堅手・濱田主将は「外野から声を掛けるしかできなかったけど、集中して無心で守っていた」という。
任せれば絶対に抑えられる投手や打ってくれる野手がいるわけではない、まだまだ発展途上のチームだが、塗木監督は「昨秋は神村学園に負けてベスト16だったけど、今回私学に勝って1つ上のベスト8に行けた」ことにチームの成長を感じていた。
(政純一郎)
4月に入り、異動した田村正和監督がベンチで指揮することは叶わなかったが、徳之島ナインは「田村野球をやり切る」(川尻信也部長)を合言葉に川内商工に打ち勝って、昨秋のベスト16を越えた。
三回の3点、七回の7点は打力が持ち味の徳之島らしく、長打が効果的に得点に絡んだ。中でも先制の中越え三塁打、七回には逆転の2ランを右翼席に叩き込んだ3番・澤村は「チームを勢いづけ、ベンチを一つにした」(川尻部長)。
スタンドから観戦していた田村監督は試合後、ナインの前で「ナイスゲーム!」とたたえる一方で「まだまだゼロ回の準備が足りていない」と厳しく指摘する。「ゼロ回の準備」とは試合に入る前、プレーに入る前の段階で心身の準備をして平常心でいつも通りの力を発揮すること。打撃では普段通りのプレーができたが、投手を含めた守りの部分では準備不足で打たれたり、エラーが失点につながるなど、不用意なプレーが8失点につながった。
「次は自分の人生、徳之島野球の分岐点になるような試合を自分たちで作ってみろ!」
田村監督が檄を飛ばす。挑む相手はシード鹿児島実だ。
(政純一郎)