南極の氷を持参して講話。後輩を感動させた海自砕氷艦「しらせ」乗員の佐藤利樹さん(後列右から3番目)=5月31日、犬田布小
南極で氷採取時の佐藤さん
【徳之島】海上自衛隊の砕氷艦「しらせ」(基準 排水量約1万2500㌧)の乗員として第58次南極地域観測協力行動に加わった自衛官が5月31日、母校の伊仙町立犬田布小(別府律子校長、76人)に南極の氷を持参してプレゼント。児童たちは、数百年前に閉じ込められた空気が奏でる音色にも耳を澄ましながら感動、先輩に続く南極への夢も育みあった。
「後輩たちに南極の氷を」との念願をかなえたのは砕氷艦「しらせ」乗員の佐藤利樹3等海曹 (34)=同町犬田布出身=。佐藤さんは小中高を徳之島で過ごし大学卒業後に入隊、「しらせ」乗員を希望。そして第58次南極地域観測(12月7日~今年3月15日) 協力行動への参加を果たしたばかり。
温め続けていた南極の氷プレゼントの動機には「犬田布小時代、雪の降らない南の島に、北海道から雪が送られてきて大いに感動。その恩返しに今度は南極の氷を後輩たちに贈って感動を共有したい」との思いがあった。
母校を訪ねた佐藤さんはまず、画像も交えて児童たちに講話。砕氷艦「しらせ」の様子、極地の氷が厚い時は1日わずか5㍍程度しか進めないなど片道約2カ月間の厳しい航海。観測史上最低気温マイナス89・2度。ヒトの病原菌などを移さないようペンギンなど野生生物に触ってはいけないこと。昭和基地での生活の様子などを解説。
児童の「どうしたら南極にいけますか?」など質問には、「研究者か、海上自衛隊員になれば行ける可能性があります」とも。
この後、明確な母校贈呈の計画をもって南極で採取、冷凍保管していた氷を披露。児童たちは、ぷちぷちと空気がはじける音に耳を澄ましながら「普通の氷よりも冷たいみたい」などと感動。6年生の上野陸君は「南極の氷は、手が焼けそうなくらい冷たかった。ぼくも将来、南極に行って、犬田布小に氷を持ってきたいと思った」と話していた。