「西郷南洲翁と徳之島」刊行

西郷南洲翁遠島155周年記念誌「南洲翁と徳之島」の刊行を発表したユイの館の松村館長(右)ら=2日、天城町

天城町・西郷ウォーク推進事業
町民への「精神的影響計り知れない」
7月には子孫招き特別記念講演会

【徳之島】天城町は、来年の明治維新150周年やNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」放送による「篤姫」以来の鹿児島ブームの再来に期待し、「西郷ウォーク推進事業」(県地域振興推進事業)を推進している。先行した同ソフト事業では「遠島155周年記念誌『西郷南洲翁と徳之島』」を刊行。7月には西郷隆盛の子孫を招いた特別記念講演会も計画している。

2日、町役場で会見し2017年度「西郷ウォーク推進事業」の概要を発表した。ハード面では、遠島処分による1862(文久2) 年7月初旬の西郷上陸地「湾屋公園」(同町浅間)のトイレや東屋の改修と、謫居(たっきょ)跡「西郷公園」(同町岡前)のウオークボード(アクセス用階段)改築などを計画した。

両公園間(約4㌔)を巡るルートと併せて、島内周遊観光の確立にもつなげる。総事業見込みは約4700万円(県約50%補助)。

うちソフト面では、大河ドラマを観光振興につなげる講演会(7月9日午後2時、町防災センター、講師・西郷隆太郎氏、演題「南洲翁のおしえ」)。先行して町教育委員会・町歴史文化産業科学資料センターユイの館(松村義則館長)で編さんを進めた「遠島155周年記念誌『西郷南洲翁と徳之島』」は4千部を作成した。近く町内全戸のほか島内の関係先にも配布予定だ。

同記念誌(冊子)はA4判・27頁。刊行のことばで大久幸助町長は「本町にはわずか2カ月足らず(徳之島計71日説)の滞留ではあったが、愛加那親子との再会や悲しい別れ、住民との交流、砂糖政策に関する役人への進言、子弟への学問の教えなど町民への精神的影響は計り知れない」とも強調している。

内容は、①南洲翁徳法島への配流(遠島経路など)②徳之島と南洲翁(湾仁屋村と南洲翁、岡前村と南洲翁、沖永良部島再遠島命令、南洲翁と井之川村、徳之島配流期間など)④南洲翁の徳之島書簡と書状(ユイの館西郷関連書状など)の4章。ほか関連書状などの「注釈」、琉家系図、参考史料などで構成。

史料の収集・調査・編さんを手掛けたユイの館の松村館長(72)は「西郷隆盛と徳之島に関しては限定的、断片的な記述が多く、全体像を描いた本や記録を見たことがない。配流に至った経緯をはじめ遠島の経路、島での生活など時系列で、できるだけ正確な史実・歴史的根拠に基づき、郷土資料としての『南洲博』をまとめたいとの思いから刊行を試みた」。「新知見」として年月日の見直しなど計10項目を挙げている。

町内全戸のほか島内の関係先にも配布予定だ。