奄美が誕生のヒントになった「浮き球三角ベースボール」、性別問わず幅広い年代が楽しめる競技として、全国各地でリーグ戦も開催されている=提供写真=
使うボールは、漁具の浮き球(中央下、紐で結ばれているもの二つ)、「ウ・リーグ」では、海岸などの清掃と合わせ、このボールを収集する活動も行っている=提供写真=
作家の椎名誠さんが発案した『浮き球三角ベースボール』で「地域を活性化したい」と、大和村地域おこし協力隊の福永利信さん(52)さんは、島内での競技普及を目指している。元々は椎名さんが奄美に来島した際、現地の漁師らが、漁具の浮き球と流木で遊んでいるのを見たことをヒントに生まれた。福永さんは「子どもから女性、高齢の方でも楽しく、気軽にできる。村内はもちろん、地域間の交流促進に。旅行者の飛び入り参加もできる。観光促進などにもつながれば」と意欲的だ。
競技は文字通り野球を基にしており、内野は一塁をダブルベースとした(二塁を省く)三角形。1試合5イニング(制限時間50分)、7人1チーム(最低2人は女性)でプレーする。女性が投手となるが、捕逸(パスボール)での進塁は認めず、死球の場合の出塁もない。
守備時、グローブは投手と捕手は原則使用だが、他のポジションは自由。ボールが発泡スチロール製であることなど野球に比べて安全で、必ずしもプレイヤー7人にこだわらないなどルールに柔軟性もあり、性別や年齢、運動経験も関係なく、気軽に楽しめるスポーツとして各地に愛好者らがいる。
全国事務局組織の設立、同時に『ウ・リーグ』を創立。各地で地区ごとのリーグ戦が行われ、優勝チーム同士で争い日本一を決める全日本選手権も例年開催されており、今年の第17回大会(全国7リーグ43チームが参加)は、11月に静岡県浜松市で開かれる予定になっている。
大和村今里出身の福永さんは、今年4月に東京からUターンし、現在、地域おこし協力隊員として活動している。3年前に競技のことを知り、自身も首都圏リーグに属するチームに入ってこれまで楽しんできたが、幼少期に今里の海浜などで、カラーボールで遊んでいたことなどを思い出しながら、「島内の海岸でも試合を楽しめるのでは」と競技の普及を思いついたという。
島内を回って、試合ができそうな場所を探したり、首都圏などの競技者らも参加した旅行ツアーの一環で、実際に今里の海岸で競技を行うなど、島内での大会等開催の可能性を探る活動も行った。村内外の海岸をはじめ、グラウンドなど候補地となりそうな場所も見つかり、開催の実現を目指している。
競技に親しむリーグ関係者の一部には、奄美が発祥であることからも、奄美でのリーグ創立、大会開催を望む声が徐々に高まってきているほか、喜界島など他の島でも、現地での競技普及に賛同する人も出てきているという。
福永さんは「子どもから女性、高齢者まで幅広い人たちが一緒に楽しめるスポーツ。集落ごとにチームを作り、地域間の交流活性にもつなげれば。2019年に、リーグ創立20周年を迎えるが、奄美での全国大会開催をチーム関係者含め、希望している。競技が普及し、旅行者の飛入り参加なども含めて試合できれば、観光振興の一つとしても期待できるのでは」と話した。