金子衆院議員とともに、国土交通省の田中良生副大臣に要望書を提出する伊集院会長ら奄美の関係者
【東京】奄美群島市町村長会(会長・伊集院幼大和村長)と奄美群島市町村議会議長会(会長・前田芳作天城町議会議長)は27日、8月末の2018年度予算概算要求を前に、奄美群島の自立的発展に向けた振興開発の推進、世界自然遺産登録及びその先を見据えた取り組みなどに関する要望活動を中央関係省庁に行った。金子万寿夫衆院議員とともに環境省や国土交通省などを訪問し要望書を提出。地元側は、国の理解の手ごたえを強調した。
地元からは首長や議会議長、鎮寺裕人大島支庁長も参加。関係国会議員や関係省庁を訪問した。
要望に対し井林辰憲環境大臣政務官は「世界自然遺産が増えている中で、予算の総枠や箇所についても対応をやらせてもらいたい」と語り、伊集院会長は「地元の4地区が一つになっていくことが大事でそこに向けて頑張りたい」と述べた。
田中良生国土交通副大臣は「奄美は追い風が吹いている。奄振についても額が年々増えている。18年に終了、(法延長後)19年度に最初の年度となるが、知恵を出して」と語った。
金子衆院議員は「奄美振興に関しては奄美の思いや頑張りを国も理解、交付金のさらなる延長に向けて手ごたえを感じた」。伊集院会長も「国の状況は厳しいが、奄振の総枠はハード事業での整備が98%の予算。交流人口の受け入れなどは重点項目のソフト事業で進められていく」とした。
伊集院会長は「全般で126%の伸びの要求は、世界自然遺産登録に向けての環境整備等を早く整えるため。なお一層加速させるために必要なもの」。農業についても「島々の産業の中でも農業を守って生産確保し、2年前の対応が早くて収束したミカンコミバエ以外にアリモドキゾウムシなどの対策も要望した」と語り、「国が奄美を理解してくれているいい感触があった。地元でどう打ち出していくか、地域振興に役立てたい」とした。
「極めて重要な時期」としている2018年度の取り組みについて奄美群島市町村長会(会長・伊集院幼大和村長)、同議会議長会(会長・前田芳作天城町議会議長)は、成長戦略ビジョン実現に向け産業振興と安全安心な定住環境整備推進のための要望事項をまとめ27日、関係国会議員や関係省庁に提出した。奄振交付金予算の確保や世界自然遺産登録・その先を見据えた取り組みなどを掲げている。
8月末に予定されている18年度予算概算要求を前にした中央要望活動。①奄美群島の自立的発展に向けた振興開発の推進②TPP協定への適切な対応③重要病害虫ミカンコミバエ種群防除へ向けての適切な対応④独立行政法人奄美群島振興開発基金の充実⑤奄美群島の地理的不利性に起因する不利性解消等―の5項目。
振興開発推進では交付金予算の確保を挙げているが、予算額は前年度当初予算比約1・8倍となる約10億6300万円(市町村事業予算として)を要望している。奄振交付金の予算(当初)推移をみると、15年度4億7700万円、16年度4億400万円、17年度5億7900万円。18年度は初の10億円台と大幅な上積みを目指す。
世界自然遺産関係では、▽奄美群島一体となった受入環境の整備・情報発信に関する支援▽奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島の世界自然遺産登録▽「奄美・琉球」の連携および交流の活性化▽多様な地域間連携による世界遺産観光ルートの構築―を求めている。
なお、不利性解消等の要望では名瀬測候所の気象台への格上げも。名瀬測候所に求められる役割は「一般的な気象観測にとどまらず、防災面の専門的取り組みの強化が求められる」として、奄美群島民の生命と財産を守る観点から「名瀬測候所に市町村と連携する防災専門の部署を設置し、必要・的確な地域防災気象情報を提供する気象台への格上げを強く要望する」としている。