「フーグァの教え」世界へ

鎮魂法要で自作の歌を島口で披露(提供写真)

20170722(順田さんマウイ島ライブ)②
会場で様々なルーツの人がボンダンスを楽しんだ(提供写真)

天城町出身・順田ひろみさん
ラハイナ浄土院 招かれ歌披露

 天城町出身のシンガーソングライター・セラピストの順田ひろみさんがこのほど、米国ハワイ州マウイ島のラハイナ浄土院に招かれて歌を披露した。2千人以上の来場者の前で、自身のオリジナル曲や日本の唱歌などを徳之島の島口で歌い、日系移民や世界各地から集った聴衆に深い感動を与えた。

 順田さんは同町天城出身。13歳の時、けがの治療のため神奈川県に引っ越した。

 順田さんは精神療法や心理療法分野のセラピストとして活躍し、恩師に「癒しの歌声」の素質を見出されて2008年から音楽活動を開始。13年には、島口で歌った障がいを持った子どもである「フーグァ 福をもたらす子」が入ったアルバム『おぼらだれん』を発表している。

 海外活動は、12年の米国ロサンゼルスのチャリティーコンサートが初。同院の住職がアルバムを聴いて気に入り、順田さんを日系移民の鎮魂法要に招待したという。

 ハワイは約2割が日系人。例年6月~9月初旬にかけ、新盆供養や灯ろう流し、ボンダンス(盆踊り)が日系人のアイデンティティを継承するイベントとして各地で行われている。

 順田さんは法要の1日目、1時間ほど約10曲を歌唱。大島紬を着用して、自作曲や唱歌「故郷=ふるさと=」の2番以降を島口で披露して聴衆から喝さいを浴びた。

 法要の2日目は灯ろう流しの後に、同院が特別にライブの時間を設定。会場のやぐらから島口で歌いあげ、イベントを楽しむ聴衆に深い感銘を与えた。

 イベント終了後に、祖父が徳之島から移民した日系3世の20代の女性が順田さんを訪問。女性から英語で「鳥肌が立ち、涙が止まらなかった。島口の響きがとても素晴らしかった」などと絶賛された。

 同院のライブが成功し、18年にホノルルなどで行われる日系移民150年記念のイベントにも出演が決定。順田さんは「今後も国内外で音楽活動し、徳之島に伝わるフーグァの教え(排除するのではなく、共に生きる知恵)を広げて行きたい」と語った。