土砂崩れで市道寸断 2集落孤立のまま

山間漁港からピストン輸送で必要物資を供給
20170806 市道山間市線がけ崩れ
大規模な土砂崩れで市道山間市線が寸断した(6日午後3時半撮影)

台風5号被害 市、戸玉(住用)へは海上輸送
道路復旧のめどたたず

4日から5日かけて、奄美地方北部を風速15㍍の強風域に巻き込みながら北上した台風5号。奄美市(笠利町、名瀬)、瀬戸内町で1時間に120㍉以上の記録的な大雨を観測し、各地で冠水や土砂災害が発生した。奄美市住用町では5日午後、土砂崩れで市道が寸断し、同町の市、戸玉集落(合計113世帯約180人)が孤立状態に。同市は2集落に対し、借り受けた小型漁船で食料や日用品、人員の移動をピストン輸送し対応しているが、道路復旧のめどは立っていない。

同市企画調整課によると5日午後2時ごろ、同町の市道山間市線上の斜面で高さ約60㍍、幅約30㍍が崩壊。幹線沿いの送電断線により、市、戸玉集落では停電が続いている。

同市災害対策本部は6日午前、災害協定を結ぶ奄美漁協から小型船舶をチャーター。同町の山間漁港から必要物資の供給や現地調査のための職員派遣など海上輸送を実施し、同日だけで10回以上往復。各集落の孤立解消を図った。

同町市集落(田川一郎区長、93世帯約140人)住民によると、台風接近で、4日夜から断続的な停電が発生。道路が寸断して以降は電気が使えないため、生活不便を強いられているという。

市中学校3年・田中大天=たいてん=君は「夜、宿題などの勉強が出来ないし、テレビも見られない」と不満を漏らし、田川区長は「地域にはお年寄りも多く、通行止めが長引くのは多くの住民が困ることになる」と述べ、早急な復旧を求めた。

同市は7日にも緊急会議を開き、対策を協議する方針。一方、市道の土砂被害が大規模なことから、「道路開通に時間を要する可能性がある」(同市担当者)とし、海上輸送の長期化も示唆している。

なお今回の台風接近に伴う大雨で、瀬戸内町の蘇刈、嘉鉄集落、加計呂麻島10集落でも土砂崩れによる道路寸断があり、一時孤立したが、6日までに解消した。