宇検村世間遺産講演会

港跡で説明を行う東川さん

「当たり前のもの大事に」
集落内の宝巡り次の100年後へ

 宇検村村制施行100周年記念事業実行委員会は21日、同村宇検集落でまち歩きの達人東川隆太郎氏が語る「宇検村世間遺産講演会」を行った。集落住民や役場職員など約20人が参加し、集落内の宝を巡り講演を通して次の100年後にも残せるように世間遺産を学んだ。

 東川さんは、NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会代表理事。集まった参加者を前に東川さんは「村制施行100周年事業をきっかけにして、宇検の足元の宝を次の100年後にも残るようにしなければならない」と話した。

 集落歩きの対象地は、元区長でDy・きばろうの前世話人の川渕哲二さんが作成した「宇検集落33の宝ものマップ」の18カ所。参加者は東川さんから、集落歩きの方法の説明を受けて宇検公民館を出発した。

 公民館から藩政期に黒糖を積み出していた港跡に移動。港跡では船が潮の満ち引きを待つ検潮場や、黒糖を集積した御蔵(ウーグラ)などを見学した。

 各ポイントでは、東川さんが感想など述べた後に川渕さんが概要を紹介。同集落でカツオ漁をしてカツオ節を生産していた金吉丸跡地には、レンガの構造物があり川渕さんは「火力はボイラーではなく、薪=まき=を燃料にしていた」「最盛期には781人がいた」と語った。

 港跡から土俵があるミャーに移動。ミャーの周囲では、火の番を行う当番所や銘がない時鐘など世間遺産になり得る地域資源を視察した。

 その後もケンムンの出没地や神道を巡り、高千穂神社や役場跡など散策。シマ歩きを終えた参加者は、公民館に戻り東川さんの講演を聴講した。

 東川さんは集落づくりにおいて大切にしたいポイントを、▽集落のことを集落の人がきちんと自慢できること▽使うこと・使われることで集落は生きてくる▽昔大事にしていたことを少しずつ取り戻す▽定住人口から関係人口へ―と示唆。集落づくりのために地域の魅力を発信することが大事として、「100周年を契機に、当たり前のものを大事にしてもらいたい」「宇検の良さ、文化を伝えていくきっかけにしてほしい」と呼び掛けた。

 世間遺産講演会は、22日に名柄集落であり、27日平田集落、28日湯湾集落でも開催される。