クロウサギ輪禍 すでに昨年に並ぶ

奄美大島は上回る

 

夜間の運転注意呼びかけ

 

 世界自然遺産登録に向けたIUCN(国際自然保護連合)の調査を来月に控え、国の特別天然記念物アマミノクロウサギが交通事故に遭い死亡するロードキル(輪禍被害)の発生件数が、すでに昨年一年間の件数と同数になったことが判明した。環境省奄美野生生物保護センターのまとめによると発生件数は25件(9月21日現在)。同センターは、これから冬にかけてクロウサギの繁殖期になるとして夜間の運転注意などを呼び掛けている。

 今年4月以降のクロウサギの交通事故の被害件数は、4~9月12件は昨年と同数で推移。1月からの合計は25件で昨年に並んだ。島別の内訳は奄美大島18件、徳之島7件で、奄美大島の発生件数は9月段階で昨年一年間の発生件数17件を超えている。

 奄美大島の被害件数が増えていることについて、同センターの木元侑菜自然保護官補佐は「これまでクロウサギの生息が少ない場所や、確認されていなかった場所の道路上にもクロウサギが出現している。集落周辺の道路に出現するケースも確認されている」と推察。減速しにくいカーブの多い道路や林道での事故が後を絶たないとして、「人にも動物にも安全な運転を心がけましょう」と呼び掛ける。

 被害防止のために、▽夜間の道路での運転に十分気をつける▽万一事故を起こしても故意でなければ罪には問われない▽ケガや死亡したクロウサギなど見つけた場合センター(℡0997―55―8620)へ連絡する(24時間対応)―を示唆。「夜間は道路上にクロウサギをはじめ多くの野生動物が出てくるので、見通しのきかない林道やスピードの出やすい道路などでは運転に特に注意を払ってほしい」とした。