映像民俗学の会・奄美記念大会

奄美博物館で行われた日本映像民俗学の会・記念大会

精神状態つくる補強の祭りも

 

奄美のユタや世界のシャーマン紹介

 

 (一社)日本映像民俗学の会(北村皆雄代表)は23日、奄美市名瀬長浜町の奄美博物館で同館の開館30周年記念第40回年次大会・奄美記念大会の1日目を開いた。会員や一般など約90人が参加し、特集テーマ「シャーマンの世界」で奄美のユタの祭りやシベリア、アフリカ、中国、韓国などのシャーマンの儀礼の映像資料の報告が行われた。

 開会で地元の奄美博物館から、久伸博館長があいさつ。奄美群島が国内34番目の国立公園指定となったことを受け、「従来の生態系管理型だけでなく、環境文化型の国立公園となったことが大きな特徴。博物館として今後もさらに最新の情報発信に努めていきたい」とした。

 奄美記念大会の発表プログラムで、まず南島のシャーマンを紹介。㈱コシマプロダクションの越間誠さんが、1970~80年代にかけて撮影したユタの成巫式や7年祭を上映して解説した。

 奄美では、ユタは占いやお祓いで個人の悩みなどを解消する存在として信じられている。ユタが自身の霊力を高め、神様をより身近に感じられる精神状態をつくる補強の祭りとして7年祭を実施。奄美市名瀬に住んでいて一昨年亡くなった阿世知照信さんが、主役として祭りを執り行った様子が放映された。

 沖縄からはノルウェー出身の社会人類学者スールン・ホアース監督による鳩間島を舞台にした「聖なる破壊者」を上映。ツカサと呼ばれる精神的権威者をめぐる4人の女性のドキュメンタリーで、島の伝統的な拝所の中心トモリ(泊)・ウタキや御願所ミルク(弥勒)小屋などでの祭祀の様子が描写されている。

 次いでシベリアやアジア・アフリカのシャーマンの映像資料を発表して解説。シベリアアのシャーマンの映像資料はトナカイ飼育民と狩猟民族のシャーマンの精霊を呼びこむ儀式「カムラーニエ」を、旧ソ連時代の70~80年代にエストニアとラトビアの映画作家が記録に成功した貴重な映像での発表となった。

 24日も同館で、同会の2日目「奄美、琉球弧、トカラの映像世界、来訪神」がある。