龍郷町でアラセツシンポ

アラセツ行事保存会や研究者などからショチョガマや平瀬マンカイの価値などが語られた

地域の団結、活性化に必要

 

450年続く行事「誇りで責任もある」

 

 アラセツ満喫ツアー実行委員会は26日、龍郷町幾里の秋名コミュティーセンターで秋名アラセツ行事特別企画シンポジウム「アラセツと古代史とシャーマニズム」を行った。一般や早朝のショチョガマを見学したモニターツアーの参加者など約110人が受講。4人の登壇者の発表から秋名アラセツ行事の特徴や価値などを学んだ。

 この日は旧暦8月の初丙の日にあたり、秋名アラセツ行事保存会が国の重要無形民俗文化財である「秋名のアラセツ行事」を実施。同委員会は、町と共同で秋名・幾里両集落で民泊し行事を体験する2泊3日のモニターツアー「アラセツ満喫ツアー」を企画し、シンポジウムもその一環として開催された。

 保存会の窪田圭喜会長が、「秋名アラセツ行事とは」と題して基調講演。アラセツ行事を450年前から続いている稲作儀礼で、早朝のショチョガマと夕方の平瀬マンカイ祭りで五穀豊穣を祈る祭儀と解説した。

 またショチョガマや平瀬マンカイ祭りで歌われる祭詞を紹介。「平瀬マンカイの歌詞は、八月踊りで歌われる歌詞にはない独自のもの」と指摘した。

 窪田会長は、伝統行事の継承で結の心・助け合いの心・優しい愛郷心が育っていると実感。「行事が約450年続いていることを誇りで責任もある」「ショチョガマ作りの資材運搬や制作作業の担い手不足が課題だ」と語った。

 基調講演に続き、学習院大学の諏訪春雄名誉教授など3人がアラセツ行事について意見発表。龍郷町大勝出身の配山實さんは古事記研究家。配山さんはショチョガマと平瀬マンカイをノロ(巫女)祭典に位置付け、古事記に書き記されている「再生道」の面影を強く残すものとして「華美にならず、今のままを保ってほしい」と話した。

 学習院大学非常勤講師の三島まき氏は、琉球祭祀研究専門の立場で琉球ノロ祭祀から「アラセツ行事」を説明。「平瀬マンカイでは神女が歌う(招く)ことにより、豊穣、生命力がシマに引き寄せられると信じられた」。

 諏訪名誉教授は、アラセツ行事を女性中心社会から男性優位社会へ推移する過渡期の様相を表していると分析。「本土日本ではすでに失われた民俗信仰と行事の存在が実感される」とまとめ、「地域を団結させ活性化させるものとして無くしてはならない」と訴えた。

 各研究者の発表の後に、質疑応答。ショチョガマの倒れ方や「種おろし」行事の起源など活発な質問が会場からあった。