アラセツ行事「ショチョガマ」

午前6時36分、ショチョガマが大きな音を立て、豪快に倒れた

制作ボランティアも参加 豊作祈って揺すり倒す

 

 龍郷町秋名・幾里集落のアラセツ行事「ショチョガマ」が26日、同集落の山の中腹であった。行事が始まる日の出前には大勢の観光客などが訪れ、伝統行事へ参加した。

 アラセツ行事は明け方に行われる「ショチョガマ」と夕方の「平瀬マンカイ」とがあり、その始まりは奄美群島を琉球王国が統治していた約450年前にさかのぼるといわれている。稲作儀礼の一つとされており、1985年には国の無形民俗文化財に指定されている。

 ショチョガマは集落を一望できる山の中腹の祭場に建てられた片屋根を指す。男たちがそこに乗り、太陽が東の山の上に出る直前に揺すり倒し、豊穣を祈願する。この日は前日の雨による影響で足元が悪かったにも関わらず、約100人がショチョガマに乗った。また埼玉県や神奈川県の大学から研究で訪れた学生や、多くの観光客らが見学した。

 今年はショチョガマ制作ボランティアに参加した集落外の住民や、都会の大学生に対して開かれた「アラセツ行事満喫ツアー」で同集落を訪れた客も行事に参加。「ヨラ、メラ」の大きな掛け声と共に身体を揺らし、午前6時36分ごろにショチョガマは無事倒れ、大きな歓声が上がった。

 この日グージ(神役)を務めた秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長(76)は「心配していた天候が回復して良かった。無事に倒れたので来年は間違いなく豊作になる。伝統的な行事なので子々孫々まで語り継いでいかなければならない」と語った。

 東京から訪れた芝浦工業大学の川邉幹=もとき=さん(21)は「唄とともに揺らし始めた時に、バランスを保つのが大変だったことが印象的だった。集落の人の行事に対する気迫や一体感が新鮮で、また機会があれば訪れたい」と話した。