当選者に奄美振興を期待する一方で、2候補が同じ瀬戸内町の出身、さらに同じ保守系であることに複雑な心境の声、見え隠れする背景に苦言を呈する有権者も(2候補の出身地瀬戸内町)
鹿児島2区4人の立候補表明者のうち、自民前職の金子万寿夫氏、元自民県議の林健二氏の両氏は、ともに瀬戸内町議選で政界に初進出した。また、林氏は今回無所属での選挙戦に臨む見通しだが、自民党の籍は残したままであり、同じ出身地同士の争いに保守分裂の構図も含まれるなど、両者の戦いは、奄美群島民にとっての一つの注目点になることが予想される。そんななか、2人の地元の一部有権者に、今回の衆院選鹿児島2区の戦いに関する意識を聞いた。
質問項目は、①同じ瀬戸内町出身者の立候補をどう受け止めるか②2候補者とも保守系だが、対立で懸念などはないか③当選者に国政でやってもらいたいこと(期待する施策など)―の三つだ。
一つずつ見ていくと、まず①は「2人とも出た方が良い。地元から国会議員が出てもらいたい」=網野子・農業男性(80)=、「志があれば、同じ出身でも良いのでは」=薩川・自営業男性(60代)=―など出身地の重複を良しとする意見に対し、「金子さんは有名。林さんも地元で応援している人がいるだろう。複雑だ」=古仁屋・福祉関係女性(30代)=と票が割れてしまうことを懸念する声があった。
②について「やりたいことがあっての立候補だろう。新しいことをやろうとすれば、反感もあるだろうがそこは仕方がない」=古仁屋・会社員男性(37)=、「派閥は関係ない。政策が重要だ」=薩川・自営業男性(60代)、また、過去に同じ奄美出身同士での選挙抗争「保徳戦争」を思い出し、「(保徳戦争)のことは聞いて知っているが、対立は残らないと思う」=古仁屋・福祉関係女性(30代)=、昔のように競争しないでいいのではないか。選挙後の分裂やしこりはないだろう」=網野子・農業男性(80)=―などの意見。
そのほか、①・②に関する2者の共通点を踏まえ「前回の町長選の流れが持ち込まれた印象。(林氏は)県議1期目の途中での立候補であり、あまり良い気持ちはしない」=勝浦・無職男性(60代)=と厳しく指摘する声もあった。
③については、「島がもっと良くなるように取り組んでほしい」=古仁屋・サービス業女性(69)=、「本土との格差がある。離島のハンディを埋めてほしい」=薩川・自営業男性(60代)、「地元(県本土含め)の活性化、中でも奄美に活力が出るよう盛り上げてほしい」=古仁屋・会社員男性(37)=など全体的な地域振興を求める意見。
そのほか、「防災に力を入れてほしい。観光面でも、道路標識を入れるなど道案内を整備してほしい」=古仁屋・福祉関係女性(30代)=、「医療・福祉に取り組んでもらいたい」=網野子・農業男性(80)、「医療助成を充実してほしい」=古仁屋・無職女性(81)=など具体的な取り組みを期待する声も上がった。