瀬戸内町油井 伝統の豊年踊り

「シシ」による「綱切り」で幕開けとなった油井の豊年踊り

ユニークな無言劇、寸劇に笑い

 

町内外から大勢の観光客

 

 旧暦の8月15日、「十五夜の日」にあたる4日、瀬戸内町油井集落(内田百一区長、28世帯58人)の豊年祭り・敬老会が同集落公民館で開かれ、県指定無形民俗文化財の「油井の豊年踊り」が披露された。町内外から大勢の観客が訪れ、会場を埋め尽くした。

 豊年踊りはその年の稲作を終え、豊作を感謝すると同時に来年の豊穣を祈願する同集落の伝統行事。集落内で収穫された稲わらで出来た綱引きから始まり、土俵祓い、稲すり、米つきなど、稲作の諸作業を芸能化したもの。長い歴史を持ち、同町を代表する民俗芸能の一つに数えられる。

 祭りの幕開けとなる綱切りでは、微笑んだ顔の紙面をつけた役者と、荒ぶる異形の「シシ」が登場。集落住民が多く参加する綱引きの合間に、鎌を持った「シシ」が綱を3度切断すると訪れた観客から大きな歓声が上がった。切られた綱は土俵の俵に使われた。

 祭りの後半には、無言劇「ヒゲフッシュ」や、女性を襲うシシを退治する様子をユニークに描いた寸劇「玉露カナ」などが披露された。演者のユーモアあふれる造作に会場は笑いであふれ、最後は輪になって八月踊りを踊り、祭りを締めくくった。

 内田区長は「豊年踊りは2月の種まきから始まり、8月の稲刈りまで続く、稲作の集大成。油井小中の子どもたちが伝統の稲作に協力してくれており、教師、PTAの方々、児童生徒たちに感謝したい」と語った。