加計呂麻でワニ2匹

10月31日に瀬相で発見されたワニ=提供写真=


3日に於斉で発見されたワニ=提供写真=

住民ら捕獲

養殖用ワニと同種か

瀬戸内町の加計呂麻島で10月31日と今月3日、体長50~60㌢程度のワニ2匹が住民により発見、捕獲された。ワニは捕獲後、瀬戸内署により同町古仁屋に運ばれ、31日に捕獲されたものは島内の研究施設で一時的に保管されており、3日に捕獲されたものは運搬途中に死亡したという。

1匹目の発見は31日午後9時半ごろ。同島瀬相で草刈り作業をしていた竹福光さん(45)が同集落の海岸で見つけた。作業をともにしていた男性が捕獲し、同署俵駐在所に通報した。竹さんは「威嚇をしていたが、小さいので恐怖は感じなかった。流木で頭を押さえつけ、駐在所員が持ってきたハブ捕獲用の箱に入れた」と捕獲時の様子を語った。

3日に捕獲されたものは同日正午ごろ、同島於斉集落を自動車で通行していた川畑洋晃さん(39)が同集落の路上で発見。同駐在所に通報した後、同集落の男性が捕獲。川畑さんは「ヘビだと思って通過したが、違和感を覚えて引き返すとワニだった。ニュースを見た直後に2匹目を発見したので驚いた」と話した。

は虫類や両生類に詳しい、鳥羽水族館の三谷伸也飼育研究部長は2匹のワニをシャムワニとイリエワニの雑種と推定。また島内で繁殖したものではなく、近海で船から放流されたものが、流れ着いた可能性があることを指摘した。

同雑種はタイや台湾で革製品、肉用として養殖されており、成長すれば2㍍を超える大型のワニ。2匹とも生まれてから半年ほど経過した個体の可能性が高いという。三谷部長は「今回は無事捕獲されたが、ワニは危険な動物。見つけても触れないでほしい」と注意を呼び掛けている。

同町では1974年にも85㌢のワニの捕獲した例があり、同町の郷土資料館では現在でもはく製が展示されている。また幕末期の奄美を、絵を交えて描いた『南島雑話』(名越左源太著)には、現在の奄美市住用町で駝竜(ワニ)を発見し、撲殺した末に食した場面が記されている。