松尾さん96歳参加

知名町生涯学習フェスティバル作品展示で来場者にお茶を振る舞う松尾イセさん

「来年も」ういぐすく茶道教室主宰

 

 

知名町生涯学習フェスティバル出展

 【沖永良部】「お茶をどうぞ」――。第27

 

回知名町生涯学習フェスティバルに出展した「江戸千家ういぐすく茶道教室」(同町瀬利覚)の主宰、松尾イセさんが来場者に声を掛ける。今年で96歳。「膝が痛くて、みんながいないと外に出ることができないの」と笑顔を見せ、こう続けた。「来年も参加します」。

 松尾さんは、1921(大正10)年生まれ。同町小米出身。52(昭和27)年から約30年間、東京都内の五つの小学校で教鞭をとった後、島に戻った。87(昭和62)年、地元に生涯学習の場を作ろうと、知名町の女性メンバーを中心に組織した団体「はまゆう会」を立ち上げ、それと同時に同茶道教室の指導者として後進の育成に努めてきた。

 「学生時代にお茶と出会い、すごい魅力があって。沖永良部に広めたかった」と松尾さん。町内の各小学校区に一人ずつ、指導者を育てることが夢になった。

 松尾さんに師事した東晴美さん(63)は「先生の熱意が伝わってきたから私たちも頑張って続けられた。作法、マナー、ファッション全てを教えてくれた。存在自体が私たちの支え」。東さんを含め合計7人、全校区に指導者を置くことができた。松尾さんが90歳の時だ。

 「夢を描くことが大事。広めたいと思う気持ちがね」(松尾さん)。

 生涯学習フェスティバル初日(今月3日)、公民館講座の作品展示が同町民体育館であった。毎年出展している茶道教室も会場入り口付近にブースを設け、教室の生徒達が地域住民にお茶を振る舞った。

 松尾さんにとっては半年ぶりの帰郷。膝の治療のため島を離れていた。来場者に「お久しぶり。お元気」とあいさつを交わし、特設の茶室へ案内した。

 現在の目標を聞くと、松尾さんは「本を書きたいと思っている。書けないけどね、思っていても」と答えた。