龍郷町消防団FR隊事例発表

日本航空医療学会で発表する山田隊長(提供写真)

結の精神で多職種連携

 

青森で日本航空医療学会

 

 龍郷町消防団ファーストレスポンダー隊(FR隊)はこのほど、青森県八戸市で開催された第24回日本航空医療学会総会・学術集会に隊員を参加させ、離島の多職種連携(FAD連携)の事例発表(口演発表)を行った。全国の消防、医師、看護師、自衛隊、海保などの参加者に、奄美大島が誇る「結」の精神で実現されるFAD連携の取り組みを紹介した。

 日本航空医療学会(会長・今明秀八戸市立市民病院長)は、航空機(消防防災ヘリ、ドクターヘリ、自衛隊・海保・民間の航空機など)による傷病者の診療と搬送に関わる学術集会。第24回学会は、困難な重症傷病者を鮮やかに救う「劇的救命」をテーマとして、シンポジウムや特別講演、パネルディスカッションなどを2日間にわたり開いた。

 今会長の知り合いが、県立大島病院の救命救急センターに勤務している縁で学会での発表を依頼され了承。FR隊から山田良平隊長(37)と福原尋副隊長(34)の2人、龍郷消防分署の職員3人が学会に出席し、隊員2人が「FAD連携~僻地における多職種連携~」の口演発表を行った。

 担当者によると、消防団員の同学会での事例発表は全国初という。「当初はFR隊と救急隊の連携を主に活動していたが、奄美ドクターヘリが加わり多職種による連携(FAD連携)を実施し枠を超えたチーム奄美としての組織力が評価されたのではないか」と分析する。

 FAD連携とは、救急車よりも早く現場上空に到着するドクターヘリへの対応策。FR隊が救急車や消防車を待たずにドクターヘリの場外離着陸場(ランデブーポイント)で、安全管理や飛散物除去・散水などを行い遅滞なく着陸させる。

 さらに必要あれば消防団車両等で搭乗医師・看護師を救急現場に搬送し、早期に治療開始されることを目的とした取り組み。「FAD連携開始から間もなく1年になるが、救急隊の早期現場離脱や医療の早期現場投入などが可能になり、救命の可能性に手応えを感じている」とした。

 「FAD連携」は地域に根差す消防団員による自助・共助の精神、奄美大島が誇る「結」の精神あってこそ実現できる連携と考察。山田隊長は、「FR隊は日々の訓練だけでなく、関係機関と顔の見える関係づくりも大切にしたい」と語った。