宇検村でルーラルナーシング学会

ルーラルナーシング学会で講演した波平名誉教授

ルーラル写真②
会場の参加者とのワークショップ

現状把握が重要

 

へき地の看護職支援 講演やワークショップ

 

 へき地の看護職を支援する日本ルーラルナーシング学会(春山早苗理事長)は24日、宇検村の生涯学習センター「元気の出る館」で「宇検村村制施行100周年第12回学術集会 シマを語る」を開いた。学会員や一般など約150人が参加し、講演やワークショップなどを通して離島におけるルーラルナーシングについて理解を深めた。

 同学会は2005年3月に設立。へき地(過疎地域、豪雪地帯、山村、離島地域など)を含む地域の中核病院、保健所などに勤務する看護職やへき地看護学(ルーラルナーシング)に関わる教育研究者が共に努力し、日本におけるルーラルナーシングの構築を目指すとしている。

 第12回学術集会の波多野浩道会長が、開会あいさつ。来賓で開催地の元田信有宇検村長が村制施行100周年などにふれ、「保健医療行政について、ワークショップなどで提言いただきたい」と述べた。

 オープニングで、奄美市名瀬在住の自然写真家の常田守氏が講演。スライド発表で、世界自然遺産候補地の奄美大島の生物多様性の重要性を解説した。

 常田氏が30年以上山に通い、撮影してきた貴重な写真もパネルで会場に展示。「奄美は本質が雨の島。その雨の多さが生物多様性につながる」「湯湾川の渓流には、シマオオタニワタリが多数ある。日本にここしかない」。

 続いてお茶の水女子大学の波平恵美子名誉教授が講演。波平名誉教授は、文化人類学が専門で奄美諸島にも1980~89年に渡り科研費の地域社会構造・共同体の調査に入っている。

 9年間の調査で、シマの交通事情は激変し海岸道路の建設が進んだと指摘。波平名誉教授は「神聖で安心感があるような空間だったお墓が、道路やトンネルで削られてきた」と語った。

 ルーラルナーシングについて、現状把握が重要な仕事と位置付け。事例を挙げ独居高齢者のケアについて、親族関係や外部の親せきとのコミュニケーションの有無を知ることが大切だとした。

 講演終了後に総会を実施。来年の第13回学術集会は、香川県を会場とすることが報告された。

 事例発表で、大和の園や奄美市名瀬の訪問看護ステーションほほえみの看護師などが口演発表。ワークショップでは、シマの可能性が語られた。

 きょう25日は、加計呂麻島の日帰り視察を予定している。