マイクロチップ装着助成スタート

飼い猫にマイクロチップを装着する注射器(資料写真)

奄美市

 

島内自治体に先駆け実施

 

 飼い猫の適正飼養を徹底してもらおうと奄美市はこのほど、「飼い猫のマイクロチップ(MC)装着支援事業」をスタートさせた。装着措置が無料(初診料などの費用は自己負担)となる。飼い猫の適正飼育を求める条例を改正した奄美大島島内の自治体に先駆けた同事業実施について、同市環境対策課は「環境保全に向け、市民の意識醸成を促したい」としている。定数300匹に達し次第、終了する。

 同島の5市町村は、アマミノクロウサギなど野生動物のノネコ(野生化したネコ)による捕食被害を懸念し今年4月1日、飼い猫条例を制定。飼い主には行政機関への登録やMC装着を義務付け、違反者には罰則規定(来年1月1日施行)も設けられた。

 同市はこれまで飼い猫の不妊・去勢手術費用の助成や野良猫を捕獲して避妊去勢手術を行う「TNR事業」を展開し、生態系の保全に務めてきた。装着されるMCには登録情報が記録されるため、専用機械で情報を読み込むことで飼い主が特定できるメリットがある。

 環境省はすでに2008年から飼い犬・猫へのMC装着支援事業を実施。これまでの装着実績は猫1256匹などとしている。

 同市は今回、来夏を見込む世界自然遺産登録や義務違反の罰則施行を前に、市民に適正飼育を促す目的で市単独(予算約100万円)での助成事業に踏み切った。希望者は申請書提出が必要。申し込み受付後、指定病院での施術まで約1週間を見込んでいる。

 同課によると、登録数2300匹を対象に周知を行う方針。12月7日現在、10件以上が申請済み。「事業周知を図り、適正飼育の意識向上に努めたい」(担当者)として啓発活動を推進する考えだ。

 島内のほとんどの自治体は、18年度に同様の支援事業を計画。一方で事業通知の選定、動物病院の指定先など調整の必要があるため、各自治体の実施時期は未定。各地区の登録匹数は、12月1日現在、▽大和村110匹▽宇検村130匹▽瀬戸内町700匹▽龍郷町520匹。

 同市事業の問い合わせは各総合支所まで。