多言語対応コールセンター設置検討

クルーズ船の寄港増加で奄美でも外国人観光客が増えている(資料写真)

過去最多更新 外国人観光客増加で県

 

特例通訳案内士育成など奄美でも関心

 

 鹿児島県を訪れる外国人観光客が増加する一方で、宿泊施設など受け入れる側の対応が課題となっている中、県は「多言語対応コールセンター」の設置を検討している。外国人観光客対応は世界自然遺産登録を前に奄美でも関心が高まっており、有償でのガイド業務が認められる特例案内士の育成が進められている。

 県の対応は、開会中の12月定例県議会の一般質問に対する答弁で三反園訓知事が明らかにした。今年に入り県内に宿泊した外国人客の延べ人数は、1月~9月の速報値で約52万人となり、これまで最多だった16年の48万920人をすでに上回っている。

 知事は「国が実施したアンケート調査によると、外国人観光客が旅行中に困ったことでは、『施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない』が最多となっている。コミュニケーションの円滑化が課題となっており、早急に対応策が求められている」とし、「多言語対応コールセンターは外国人観光客の満足度向上に資するものと認識しており、その設置について検討しなければならないと思い取り組んでいる」と述べた。

 多言語対応コールセンターは、ホテルなど宿泊施設や観光案内所が外国人観光客にサービスなどを説明する際、電話で通訳してもらう仕組み。24時間365日、14~15言語に対応しており、九州でも福岡県などで民間が運営するコールセンターを活用する取り組みがある。

 外国人観光客への対応では、奄振事業を活用し奄美群島広域事務組合が特例通訳案内士を育成する研修事業を進めている。通訳案内士法に基づく国家資格で、16年度からスタート。初年度は英語だったが、今年度は中国語コースも新設された。今年、名瀬港には14回予定されるなど外国人観光客らが乗船のクルーズ船寄港が増えており、奄美が沖縄とともに世界自然遺産に登録されると、さらに増加が期待されている。

 その一方でこうした外国人観光客への通訳者が不足していることから、受け入れ向上策として地域限定での有償ガイド(特例案内士)を育成することになった。県による多言語対応コールセンターが実現すると、その手軽さから外国人観光客の受け入れで宿泊施設などの活用が見込まれそう。