【鹿児島】今年度の全国農林水産祭むらづくり部門の最優秀にあたる天皇杯を獲得した宇検村の阿室校区活性化対策委員会の後藤恭子会長=写真右=が22日、鹿児島市の県庁を訪れ受賞の喜びを三反園訓知事に報告した。
農林水産祭は1952年度から始まり、各都道府県から推薦された優れた取り組みをしている農林水産業者の中から選ばれる。県関係が同部門の天皇杯を受賞するのは00年度の知名町・正名字以来17年ぶり7回目で全国最多。
阿室校区では阿室小中学校の統廃合が取り沙汰された09年に委員会を設立。村役場とも協力しながら10年度から親子山村留学制度によるI・Uターン者を積極的に受け入れた。10年間の人口約220人はほぼ横ばいだが、8年間でI・Uターン者が35世帯79人と人口の約35%を占めるようになり、高齢化率が10%下がった。また、地元住民とI・Uターン者が協力して地域ぐるみでタンカンや島ニンニクの生産に取り組むなどの活動が評価された。
「I・Uターン者受け入れに必要なことは?」との三反園知事の問いに「地元住民の心の広さ、人柄の良さ」を後藤会長は挙げた。中学校までしかない阿室地区に住む人は、高校進学時点で一度は地域を離れた経験があり、よそから来る人に対して寛容で共感できる部分があるという。
後藤会長自身も「島で子育てをしたい」と、06年に愛知から移ってきた。学校がなくなってしまう危機感から立ち上がった委員会に「地域の人たちが問題意識を持ち積極的に協力してくれたことが評価された」と喜んだ。今後は「地域の人たちの所得増を目指し、産業化をより進めていく活動にも取り組みたい」と後藤会長。三反園知事は「県全体の活性化にもつながる。力を貸していただきたい」と激励していた。