クロウサギ生態に関心

アマミノクロウサギのフンの調査を行う参加者たち

奄美塾&生物多様性観察会

 

湯湾岳周辺で固有種や希少種も観察

 

 奄美市教育委員会と鹿児島大学の「薩南諸島の生物多様性とその保全に関する教育研究拠点整備プロジェクト」は23日、大和村の湯湾岳周辺で第5回ふるさとリーダー奄美塾&第7回奄美の生物多様性観察会「冬の湯湾岳を歩こう~アマミノクロウサギ生態調査体験~」を行った。親子連れなど約40人が参加し、クロウサギのフン探しや獣=けもの=道の調査を実施し、世界自然遺産候補地の希少植物などを観察した。

 同観察会は、2015年から開催されている生物多様性観察会シリーズの7回目。今回の観察会は、直接観察するのが困難なアマミノクロウサギの活動の痕跡を、フンや獣道を探して調べる体験を行った。

 講師を同大国際島嶼教育研究センター奄美分室の鈴木真理子さんと市教委文化財課の平城達哉さんが担当。参加者は奄美文化センターに集合し、2台のバスに分乗して湯湾岳の大和村側駐車場1㌔手前に移動した。

 バスの中で講師から、湯湾岳の貴重な自然や国立公園の特別保護地域になっていて動植物の採取が禁じられていることなどが説明された。湯湾岳の標高は694㍍あり、山中は霧が多くそのためにユワンツチトリモチなどの固有種も見られるとした。

 駐車場手前で降りた参加者たちは講師の解説を聞いて、フンを探す班と獣道班に分かれて調査。道路の路肩部で草刈りされていて古いフンは少なかったが、新しいフンや獣道が確認された。

 クロウサギの痕跡の調査体験を終えて駐車場に集まり、調査の成果を報告。鈴木さんから「クロウサギの子どものフンの大きさは7㍉。他のウサギのように食フンの習性がある」「自然や動物に興味を持って、長期の休みを利用して調べてもらいたい」と話した。

 その後、登山口からボードウォークを経て神社まで移動。途中で固有種のユワンツチトリモチや、満開の絶滅危惧種トクサランなどを観察した。

 生物部員3人と参加した部長の大島高校2年の泊広明さんは、獣道班で調査体験。世界自然遺産候補地のコア地域である湯湾岳の自然の豊かさを体感し、「世界自然遺産になってほしい。たくさんの人が来るとゴミのポイ捨てや、希少種の盗掘などが心配」と語った。