新潟の量販店に設けられた「奄美つのかがやき」販売コーナー(提供写真)
知名度不足が課題だが、試食により購入へとつながった(提供写真)
県園芸振興協議会カンキツ新品種産地育成プロジェクト班会(班長=県大島支庁農政普及課・宝正己課長)は、柑橘=かんきつ=の新品種・津之輝の試食販売を新潟県の量販店で行った。今年から「奄美つのかがやき」の名前でJA共販がスタートしており、試食が購入につながるなど消費者の反応は良く好評だった。
今月15日に実施したもので、同課によると、生産者代表、JAあまみ大島事業本部および行政機関(奄美市、大島支庁)担当職員の計5人が参加した。島外への出荷となるJA共販に当たり、知名度の向上を図るため、温州ミカンなど柑橘の消費量が多く、以前からタンカンの取引が続いている新潟市の清水フーズセンターの店舗で実施。同社の店舗では昨年12月も津之輝の消費者ニーズ調査をしている。
販促活動では3Lサイズ(光センサー選別を行った高品質の秀品)の大玉果実100㌔を準備。午前9時半から午後1時まで、来店した消費者へカットした津之輝の試食と大玉2個パック498円、3玉袋入り398円で販売。デザイン力を重視した化粧箱も含めて高級品扱いで差別化を図っており、値段は少し高めに設定した
売り場には、リンゴや洋ナシ、柑橘では圧倒的に温州ミカンが多く並んでいた。津之輝の販売コーナーは、柑橘の断面と龍郷柄を取り入れたロゴマークに「奄美つのかがやき」と明記された幟が立ち、入口から目立つ一画だったが、知名度が低くコーナーに足を止める消費者は少なかったという。しかし参加者が試食を勧めたところ「とても美味しい」と感想を語り、かなり高い確率で購入につながった。
大島支庁農政普及課は「温州ミカンだけでなく中晩柑では『デコポン』や『紅まどんな』も出回っている。そうした中で、『奄美つのかがやき』は消費者にまだまだ知られていないが、試食による反応はかなり良かった。来年度以降も新潟などでの販売促進活動を継続して知名度アップを図っていきたい」としている。今後量が増えると島外での販路開拓が重要になることから、こうした活動の継続が求められそう。なお、奄美大島での生産量は19年度には50㌧を目標にしている。
津之輝栽培は奄美の場合、コストがかからない無加温(露地栽培)で、年末の贈答用需要がある年内出荷が可能なのが最大の利点。プロジェクト班会が中心となり、国直轄の地域コンソーシアム支援事業を活用し、生産から販売対策まで展開されている。PR対策で進められている島外での試食会・消費者調査は民間のマーケティング研究機関のアドバイスを受けており、新潟の量販店での活動もその一環で実現した。