『ホライゾン』電子版で復刊

休刊になっていた『ホライゾン』を電子版で復刊した編集人の浜田さん

Kindleなどで販売開始

 

奄美知る入門書「広く知ってもらえる」

 

 奄美の自然、歴史、文化などを全国に発信していた情報誌『ホライゾン』編集人の浜田百合子さん(㈱エアポートTVネットワークジャパン専務取締役)が27日、奄美新聞社を訪れ、休刊となっていた同誌が3年ぶりに形を変えて復刊したと報告した。紙媒体から電子書籍になり総合電子書籍ストア大手のアマゾンKindleやBookliveで販売されているとした。

 『ホライゾン』は1995年6月に創刊され、年2回発行。20年間で40号を重ねたが2014年末に休刊。成果として全国タウン誌フェスティバルで奨励賞や地域コミュニケーション賞を受賞し、情報内容を発展させ1998年『奄美群島観光ガイドブック』(奄美群島観光連盟)、2000年『生命めぐる島』(南日本新聞社)、12年『奄美の食と文化』(同)の単行本を作成した。

 『奄美文化の近現代史』の著者である中京大学の加藤博明教授は、同書で「自然だけでなく文化や人間を特集してきた特徴ある冊子で現代奄美の貴重な記録」と高く評価。その情報誌が休刊となっている状況を浜田さんの知人である沖縄情報TVの宮平博光さんが、電子書店に配信ルートを持つ㈱近代美術の沖縄eBooksに何とかできないか相談したという。

 相談を受けた沖縄eBooks事務局の榎本伸司さんは、内容の面白さ、美しさに加え奄美にこうした情報誌があるとは知らず驚いたとし全40冊を電子書籍化して沖縄eBooksに掲載し公開。インターネット上に公開するのに学研プラスの書店システムを使用していたことから、大手のアマゾンKindleやBookliveがその存在を知り、各自の判断で電子書籍版『ホライゾン』の取り扱いを決めたという。

 榎本さんは、「電子書籍のメリットは地方の良い書籍や、休刊、廃刊となった書籍をあまりコストかけずに復刊し全国に知られるようにできる点」と示唆。「最も販売力のあるKindleで販売できるのは、大きなメリット」と強調する。

 浜田さんは、公開した電子書籍版『ホライゾン』について、校正を加えた改訂版と説明。20年間の間に亡くなられた研究者や唄者などのインタビュー記事もあり、残すことの重要性を実感したという。「奄美を知る入門書として広く知ってもらえるいい機会。在庫切れの心配などないので、みなさんに読んでもらいたい」と語った。

 浜田さんは「来年に世界自然遺産になるかもしれないので、世界に向けた情報発信として英語版の刊行が今後の課題」としている。アマゾンKindleでは、無料お試し版(一部公開)が1月11日まで公開されている。