地場産野菜も高値

地場産も入荷量が少ないため野菜の値段が上昇している(名瀬中央青果でのセリ)

地元市場 正月需要期も入荷遅れ量少なく

 

ダイコンは昨年の2倍

 

 正月の需要期に青果物の高値が目立っている。地元市場の名瀬中央青果㈱(福山治社長)には地場産の野菜類の入荷が増え始めているが、全体的に量が少ないため高値で、ダイコンの場合、昨年同時期の2倍に上昇(平均比較)。本土産の移入品では鍋物の主役であるハクサイが高く、急激な寒波が野菜の生育に影響している。年末の贈答用需要がある柑橘=かんきつ=のポンカンは昨年、値段が低迷したが、今年は昨年より好転している。

 同青果に入荷する野菜を地場産と移入品で比較すると、冬場は地場産が主流。奄美大島北部の奄美市笠利町や龍郷町などから入荷している。ところが今季は、こうした産地が10月の台風で被害を受け、植え直しを強いられた関係で入荷遅れに。ホウレンソウやチンゲンサイ、コマツナ、キャベツなどの葉物類のほか、ダイコンも最近になってようやく入荷が増え始めたという。

 量が少ないため値段が上昇。年越や正月料理などで煮物として用いられているダイコンの場合、セリ値(キロ当たり平均価格)は昨年12月の83円から155円まで上昇している。ホウレンソウ542円→759円(高値は950円に)、キャベツも173円→314円と平均値は高い。加工品では奄美の年越料理で欠かせないツワも800円→1250円と高値だ。また、サラダ用などとして需要があるトマトも376円から615円と2倍近くまで上昇している。

 冬場の野菜のうち地場産で対応できないため、本土の産地から入荷しているハクサイも高騰。昨年12月の平均(キロ当たり)80円から今年は200円まで上昇。値段の上昇が昨年から続いており、昨年の二分の一カット100円から今年は四分の一までカットして同値段で対応しているという。ハクサイ同様に鍋物需要があるニラも高く、昨年の平均(同)638円から1418円と2倍超まで上昇している。

 中央青果は「野菜は全体的に値段が高い。寒波の影響で本土産は年明けも品薄状態が続くのではないか。12月後半になり地場産が出始めている関係で値段は落ち着くとみられるが、年明け以降は値段が下がる可能性がある。正月需要に対応できない生産者にとって痛手になるかもしれない」としている。

 なお、ポンカンは12月に入り入荷が始まり、10日ごろから量が増加。昨年12月の平均価格(キロ当たり)は160円と低迷したが、今年の場合、中旬にかけては300円以上まで上昇した。現在は133円(高値で270円)となっている。量を比較すると昨年は12月いっぱいで3万6436㌔、今年は28日現在2万1711㌔。新品種「津之輝」に切り替える農家の関係で、ポンカンは生産量自体が年々減少しているという。