成年後見受託業務を開始

介護サービスのほか、成年後見制度の受託事業を開始したNPO法人「ゆらい」のスタッフら=喜界町提供=

「市民後見人」制度推進も

 

喜界町のNPO「ゆらい」

 

 認知症の高齢者など判断能力の不十分な人に代わり、第三者が財産管理、医療や介護などに関わる契約などを行う制度に成年後見人制度がある。喜界町のNPO法人「ゆらい」(中村直美理事長)はこのほど、介護サービスと法律的な支援など(成年後見)の受託業務を開始した。将来的には、一般市民が規定の研修を修了し、家庭裁判所からの推薦を受けてなる「市民後見人」制度などの周知も含め、支援する人材確保に向けた取り組みの推進もしていきたいとしている。

 成年後見制度は、精神上の障がい(知的、精神、認知症)により、判断能力が十分でない人が不利益を被らないように、援助する人を付けるもので、子どもなど家族のほか、地域の弁護士や司法書士などが選任されている。

 同NPOには、町内在住の司法書士の平石幾郎副理事長を含む10人が所属。介護サービスのほか、被後見人の財産管理などの業務にもあたることが特徴。徳成寿理事は「介護、法律の専門家それぞれの分野を生かし一緒に行うことで、認知症の高齢者、知的な障がい者などがより良い権利の要望ができるようになれば」と事業の意義を語った。

 同制度には、本人が判断能力を有している間に、能力が不十分となる場合に備えあらかじめ契約する「任意後見制度」と、家庭裁判所によって援助者として成年後見人等が選ばれる「法定後見制度」の二つがあり、同NPOはいずれも受託する。

 国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の世帯数の将来推計」(2013年推計)によれば、20年の世帯主が65歳以上の世帯数は2006万世帯で、うち単独・夫婦のみの世帯を合わせると1319万世帯(65・8%)、30年には1363万世帯に増加し、夫婦のみの比率が下がる一方で、単独比率は、微増する(34・8%→36・3%)ことも推計されており、国や各自治体は同制度の浸透などに向けた取り組みを進めている。

 徳理事は「身寄りのない方が死後のことなどについて、また子どもに障がいのある方など悩まれている方は多くいる。役場や社会福祉協議会などの関係機関・団体とも連携を取っていきたい。市民後見人制度の周知を含め、市民後見人の育成にもつなげていけたら」と話した。