大和村「HITOSHI弁当」

高齢者から重宝

 

周辺に飲食店少なく注文配達も

 

 大和村の大棚にある「HITOSHI弁当」(伊集院将代表)=写真=は、2016年9月にオープンした集落内唯一の弁当屋。昼時ともなれば、創業以来人気のからあげ弁当や日替わりメニューを求め、同店や商品を卸している「大和まほろば館」に購入客が訪れる。また周辺に飲食店が少ないなか、1日平均10~15件の注文配達も受けており、近くに住む高齢者などにとっても、貴重なお店として重宝されている。

 「まったく経験はなかったが、『とりあえずやってみようか』と軽い気持から」。伊集院代表(30)は笑顔で語り始めた。店を一緒に切り盛りしている母・つるみさんのアドバイスも受けながら、開店の準備を進めたという。

 お店は月曜から土曜日までの営業。土曜は1種類、他の曜日は2種類の弁当を販売している。開業前はバス会社など飲食とは関連のない職に就いてきたが、調理師免許を持つ、つるみさんから料理のいろはを習った。

 「最初に母から伝授してもらって覚えたのは卵焼きとから揚げ」。自身の好物でもある「からあげ弁当」はオープン当初から人気で、昨年9月に始めた日替わりメニューと一緒に、現在も週2回販売している。

 村内に飲食店が少ないことも弁当屋を始めたきっかけの一つだが、集落に住む高齢者からの声も理由につながっている。集落の婦人らでつくり、つるみさんも活動する「大棚結いの会」で、高齢者向けに総菜を作るボラティアを行っており、「毎日作ってもらえたら」の希望を「叶えたい」という気持ちも大きな動機だったという。

 村内に限って配達もしており、役場職員向けのほか、近隣集落の高齢者からも注文を受けている。「できる範囲で」はあるが、常連客の好き嫌いに合わせた弁当も作るなど小回りを利かせた対応も行っている。

 「営業日毎日配達しているお客さんもいる」と喜ぶ一方で、「新規の注文はうれしいが、特に高齢者からだと体調を含め、何かあったのか気になる」という。

 オープンから1年半が経過し、伊集院代表は「やって良かった。まだまだやれることはあると思うので、これからも試行錯誤しながら一緒にやっていきたい」と意欲。また、「配達していく中で、高齢の方の見守りのようなものにもつながれば。集落のなかでやっているからこそ、集落はもちろん、村の何かの役にも立っていけたら」と笑顔で話した。

 お店では注文配達(村内だけ)のほか、オードブルメニューも受付けている。「HITOSHI弁当」TEL080―1701―0088