奄美トレイル」開通

20180128 世界自然トレイル 第一弾三太郎峠古道-2
急峻な三太郎峠古道を歩くトレイル参加者

コース第一弾「三太郎峠古道」(住用町)

 

地域の魅力ある自然満喫

 

 歩きながら奄美群島の自然や暮らしぶりを体感する「世界自然遺産奄美トレイル」。2016年度からコース選定を進めていた奄美市住用町の三太郎峠(標高343㍍)の古道が28日、奄美トレイル第一弾として開通した。同町内外から参加した66人は、100年以上前に当時の住民らが歩いたとされる歴史の雰囲気を感じながら、急峻=しゅん=な山道を“トレイルウォーク”した。

 奄美大島と徳之島の世界自然遺産登録に絡み、県は奄美各島をつなぐ自然歩道をつくるトレイル構想に着手。16年度から群島自治体など関係機関とコース選定を行い、同町のほか、徳之島(伊仙町)、沖永良部島(和泊町、知名町)の4コースを決定。今年度開通する。

 この日は同市住用総合支所で開通式があり、朝山毅市長は今夏が見込まれる奄美・沖縄地域の世界自然遺産登録に期待を込め、「新しい時代のスタート。奄美の自然や伝統、文化などの環境を残していきたい」。古薗宏明・県環境林務部長は「地域の魅力ある自然を満喫できる」とそれぞれトレイルの魅力をアピール。関係者とともにテープカットして、第一弾開通を祝った。

 三太郎峠は1899(明治32)年、畠中三太郎が西仲間と東仲間の間にある峠の頂に茶屋を開いたことからその名がついた。トレイルは神屋側の古道入り口から出発。ゴールは東仲間集落までの約9㌔を歩く。

 参加者はストック(杖)をつきながらシダ類など樹木が茂る、未舗装の斜面の山道を進んだ。途中、茶屋跡地で休憩を取りながら、クイズやレクリエーションなどを楽しみ。思い思いのペースでゴールを目指した。

 同市名瀬小湊の小湊小学校2年・林正温くんは「道が細いけど自然の中を歩くと楽しい」。母・恵さん(34)は「希少な植物の多い環境はすばらしいと思う」と話した。

 県世界自然遺産登録推進室の大西千代子室長は「県と奄美の関係機関が一体となって推進しており、自然遺産登録を前に弾みとなる」とコース開通を喜んだ。

 現在、宇検村、喜界町、徳之島町、与論町でも選定作業が進められ、県は今後も順次、部分開通させ、21年度に全線開通する計画だ。