瀬戸内漁協が署名撤回

瀬戸内漁協の臨時総会後に開かれた町企画課によりクルーズ船寄港誘致に関する説明会が開かれた

クルーズ船誘致要望書 臨時総会後に説明会
「要望も賛成もしていない」
3月20日以降 各地区説明会へ

 瀬戸内漁協(茂野拓真代表理事組合長)は瀬戸内町古仁屋の同漁協内で、2017年度第1回臨時総会を開き、海砂採取同意願いに関する議案1件と附帯決議1件を原案通り承認した。総会終了後には同町がクルーズ船寄港地誘致を進めている問題についての説明会が開かれた。町内4経済団体から町に提出された要望書に漁協の名前があることで紛糾し、茂野組合長は署名の撤回を表明した。

 説明会では同町企画課の真地浩明課長が登壇。国土交通省が昨年8月に発表した「島嶼部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査」で、奄美大島と徳之島の9地区が候補地として選定されたことや、寄港によるメリットを紹介。真地課長はクルーズ船寄港地決定までのプロセスを「まだ国に話をあげたわけではなく、土俵に立つために手を挙げた段階」と語った。

 組合員からは昨年12月に町内4経済団体連名で、町に提出されたクルーズ船誘致を求める要望書に同漁協の署名があることに異議があった。理事会や総会が開かれない状態で提出されたことについて指摘。これに対し、茂野組合長は「あくまで国や県との協議の場に上がるための署名だと聞いていたので、決を採らずに陳情書に署名した。誘致に関する賛成ではない」と答えた。

 これについて組合員からの「署名により、漁協が賛成しているように見られているのが問題。漁協としては要望も賛成もしていない」という意見もあり、茂野組合長は署名の撤回を表明した。

 町民に情報が開示されないまま要望書が提出された件について、真地課長は「クルーズ船の話が出れば、土地売買などを求める業者が出てくる。各団体責任者に、情報の取り扱いに気を付けるようにこちらから伝えていた」と明かした。

 説明会終了後、茂野組合長は「条件整備については総会で決定するつもりだった。町の対応を見て、今後の対応を考えたい」と語った。また真地課長は「今回の件を厳粛に受け止め、冷静に対応していきたい。紛糾している事態が分かったので、町議会終了後の3月20日以降に各地区で説明会を開いていく」とした上で、「連名での陳情書・要望書だったので、1団体が撤回すると効力が無くなる」と話した。

 同漁協は同日、役員会を開き、要望書への署名の白紙撤回と町議への報告を決定。町議会と県議会への陳情書提出を行うという。