「オオアマミテンナンショウ」

〝けがの功名〟で天城町内初確認となった徳之島固有種「オオアマミテンナンショウ」(山田文彦さん撮影)

天城町内確認は初
偶然〝けがの功名〟?

【徳之島】「変わった花を、生け花用に採取してみれば…」。天城町内の国立公園指定区域内でこのほど、徳之島固有種で絶滅危惧種の「オオアマミテンナンショウ」(サトイモ科)の小群落が見つかった。いわば〝けがの功名〟による偶然が重なり、同町内では初の確認という。

「オオアマミテンナンショウ」の自生地は世界中で徳之島のみ。南西部の琉球石灰岩層土壌のごく一部エリアに限定される。環境省レッドデータブックで絶滅危惧IA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い)に分類。高さ20㌢~30㌢。1、2月にかけて「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる筒状の花を咲かせる。

天城町内への分布を初確認したのは、同町浅間在住の自然写真家・山田文彦さん(50)。町役場近くに住む知人女性が、自宅に飾る切り花を探し、その筒状の花を持ち帰っていた。ところが山田さんが過去に撮影し、保護・啓発用に職場(町役場)に掲示しているソレと酷似。採取禁止の希少種だったことを知って焦り気味の女性の案内で、天城町内では初の確認とあいなったという。

「天城町内には分布しないとされていたオオアマミテンナンショウが見つかった。しかも役場の近く、人口密集地の近くで見つかったということは、島の自然の豊かさの半面、伐採されてきた過去があるということにも」と山田さん。同定に協力した町の世界自然遺産担当は、付近にアメリカハマグルマ(要注意外来生物)の繁茂も見られ、「強烈な外来種に駆逐されてきた可能性も」と指摘。

NPO法人徳之島虹の会の関係者も「まずは島民の皆さんが、島の希少動植物の存在やその価値観を知ることが大事。知ることが保護につながる」と話していた。