金久中で熱弁をふるう林真理子さん
奄美市名瀬の金久中学校(向美芳校長、329人)で23日、NNHK大河ドラマ「西郷どん」の原作者で作家の林真理子さんら著名文化人が授業を行う「エンジン01(ゼロワン)文化戦略会議によるボランティア出張授業」が同校の各教室で行われた。この日は林さんに加え、作曲家・三枝成彰さん、アーティスト・河口洋一郎さん、社会学者・古市憲寿さんの4人が授業を開講。全校生徒は四つのグループにわかれ、各講師の専門分野に耳を傾けた。
エンジン01は、新しい日本文化の創造を目的に著名文化人の有志が結成。出張授業は、地方の公立学校に学ぶ子どもたちに豊かな教養をと、そのメンバーでつくる「同教育委員会」(林真理子委員長)が実施した。
授業では、各講師とも個性豊かな授業を展開し、生徒の心もわしづかみ。三枝さんは、自らピアノを弾きながら、オペラの魅力を熱弁。河口さんは、伝統工芸品とハイテクCG技術でつくる「宇宙クラゲ」で、感性豊かな創造の世界へダイブした。
古市さんは、生徒が書いた百年の人生設計を基にアドバイス。各講師ともに、生徒と対話を重ねながら、熱心に教鞭を執った。
林さんの授業では、大河ドラマの主題歌を歌う里アンナさんをゲストに迎え幕開け。著書・西郷どんについて「西郷は奄美で変わった。その西郷と愛加那の3年間を描きたかった」と見所を紹介。授業は拍手や笑いを交え話は進んだ。
話題は、島津斉彬や大河ドラマ裏話、自身の作家生活についてなど言葉巧みに変幻自在にトーク。幕府の圧政・黒砂糖地獄に悩みもがく西郷の心情に触れ「西郷だけでなく、私(小説)にとっても奄美は大きな転機だった」と物語を巡るポイントなども披露した。
林さんの授業を受けた3年2組・奥田大智くんは「人生の教訓としてもとても面白かった。地方の劣等感を乗り越えた先生の話とかはぜひ今後に役立てたい」と喜んだ。