大島地域行政懇話会では観光振興について意見交換がなされた
奄美群島12市町村の首長らと県大島支庁の幹部らが地域課題などについて、意見交換する2017年度第2回大島地域行政懇話会が27日、奄美市名瀬の集宴会場であった。議題は観光振興に絞られ、各市町村がそれぞれの取り組みや県への要望を発表し、各施策への理解と課題発見に努めた。
まず、鎮寺裕人大島支庁長が、奄美群島の観光振興を取り巻く環境、県の取り組みについて発表。16年の入域客数は57万9千人(過去最高)で、17年も増加の見込みとなっている。また今夏見込まれている世界自然遺産登録への期待、放送中のNHK大河ドラマ「西郷=せご=どん」による国内外からの来訪者増加が見込まれている。
一方で、インバウンドへの対応や宿泊先の確保などの課題が多く残っていることを鎮寺支庁長が解説。県は観光振興を目的に「奄美世界自然遺産トレイル」の選定や、アイランドホッピング、屋久島との交流・連携などに取り組んでいるとした。
続いて各自治体が自ら観光振興への重点施策や課題を説明。県業務に対する要望も行った。鎌田愛人瀬戸内町長は「クルーズ船寄港地誘致に関しては説明不足により、町民に心配と迷惑をかけた。このことに関しては丁寧に、慎重に進めていきたい」と語り、同町の施策として、加計呂麻島・請島・与路島の「三点航路」を構想していると発表。乗り継ぎの発生に対する住民の反対があることも紹介し、住民の意見、意向を聞きながら決めるとした。
高岡秀規徳之島町長は「県の魅力ある観光地づくりを図る事業の応募が多すぎて、ハード面での施策が切られる場合がある。予算枠を拡大してほしい」と要望。また、今井力夫知名町長は「国と連携して、航空運賃を思い切って下げてほしい。空港の整備も必要」と指摘した。
この日は県観光プロデューサーの古木圭介氏も参加。各自治体の発表を聞いた古木氏は「経済活動と自然保護の両立が大切。エコツーリズムの思想を主軸に、継続可能な地域づくりをする末永い戦略を持ってほしい」と市町村長らに助言した。