宇検村誌発刊記念シンポ

宇検村誌発刊記念シンポ

宇検村の自然と歴史についてさまざまな角度からの解説がなされた宇検村誌刊行記念シンポ

「30年間蓄積の学問成果」
執筆者発表 民俗編の編さん継続

宇検村教育委員会は4日、同村の「元気の出る館」で宇検村村制100周年記念「『宇検村誌』発刊記念シンポジウム」を開いた。昨年11月に発刊された同村誌を執筆した識者らが登壇し、宇検村の自然・歴史などについて語った。また総括では同村誌には掲載されなかった民俗編の編さんを継続することが報告された。

 

同村では1997年から村誌編さんの計画を始動。2002年と07年に資料編を2冊刊行。13年には村が宇検村誌編さん基本計画を策定。14年には編さん委員会を設置し、故・中山清美さんを編さん委員長に27人が執筆。中山さんの死去後は、えらぶ郷土研究会の先田光演会長が同委員長を引き継ぎ、委員会設置後、3年の時を経て、村制施行100周年のタイミングに発刊となった。

村誌は島内の動植物についてと、先史から現代までの村の歴史を解説。平成以降の現代史が記載されていることも同村誌の特徴となっている。この日のシンポジウムでは各分野の執筆者15人が分野別に、村誌には記載できなかったことの補足や、発刊後に判明した事実を話した。

自然編で植物についての節を担当した、奄美の自然を考える会の田畑満大会長は「宇検村、湯湾岳には固有種、北限種、絶滅危惧種などが多い。次世代に引き継ぐためには、どのようなことをすべきかを村誌を通して考えて欲しい。村誌では各植物の方言名が調査できなかったが、集落ごとに違う呼び名があるので皆さんに書き加えていただきたい」と語った。

通史編の古代史について解説した鹿児島大埋蔵文化財調査センターの新里貴之助教は、村誌編さんを通して新たな遺跡が多く確認されたことなどを発表。また、屋鈍遺跡で外国産の陶器や、日本産の須恵器=すえき=、土師器=はじき=などが発見されていることから「焼内湾は台風や高波などの災害被害を最小限に抑える避難港として優れていることから南北交流の結節点であった可能性がある」と明かした。

このほかにも自然編では奄美大島地史、リュウキュウアユについて、通史編では中世から近現代までの同村の歴史についての解説があったほか、倉木崎海底遺跡などの個々の遺跡についての話もあった。先田編さん委員長は「新しい出来事も詰め込むためにきのう、きょうの出来事をも織り交ぜた。村誌は平成30年間に蓄積された学問の成果だ」と総括した。
また同村誌に民俗編の編さんについて、編さん委員で瀬戸内町立郷土館の町健次郎学芸員は「民俗編の執筆は大変時間がかかるが、執筆を通して、これからの奄美に役立つ人を育てることにつながる。その時間をどれだけかけられるかを村当局と協議していきたい」と意欲的な姿勢を見せた。