島民向け商品開発を

ガイド同行で屋久島の自然を体験した参加者(宇検村提供写真)

屋久島視察で意見交換 航路定着へ課題も

 マルエーフェリー㈱の鹿児島上り便が試験的に屋久島寄港を開始しこのほど、奄美大島から乗船した行政、観光関係団体など20人が屋久島で島内視察し、両地域の連携や交流に関する意見交換会が行われた。7日、屋久島視察担当の大島支庁総務企画部は、航路定着に向け早着対応や島民(奄美大島)対象の商品開発などを課題と位置付けた。

 4日、名瀬港で出発式を終えた一行は同社の屋久島寄港第一便「フェリー波之上」(8072㌧、定員707人)に乗船し、翌5日の早朝4時40分ごろに盛大な歓迎を受けて下船したという。視察に参加した大島支庁総務企画部の田中完部長は、「屋久島航路の実現を目にして感無量だった。胸に来るものがあった」と振り返った。

 一行は屋久島での歓迎セレモニー後に、宿泊先ホテルに移動して朝食。休憩後にガイド同行で、白谷雲水峡や西部林道(世界自然遺産区域)、大川の滝、千尋の滝を視察。また野外の視察から場所を屋久杉自然館や環境文化村センターに代えて、屋久杉の歴史や特性などを館内ガイドや展示資料で学んだ。

 視察参加者はシーサイドホテル屋久島に移動して、屋久島や種子島の行政・観光関係者など約40人と意見交換会を実施。奄美と熊毛地域の連携・交流や世界自然遺産登録後の取り組みなどについて、意見が交わされた。

 奄美からの参加者に、屋久町商工観光課から世界自然遺産登録後の取り組みを説明。入込数は落ち着いてきていて横ばい傾向とし、「登録後は住民に対して啓発し、世界遺産の意識を高めることに努めた」とした。

 「年間で約40万人が受け入れの限界だろう。人を増やすのではなく、一人に複数泊してもらうよう取り組んでいる」。また、登山者から入山料を取るなど新しい試みも報告された。

 屋久島で1泊して2日目は、参加者は宮之浦集落で里めぐりを体験。田中部長は「奄美と違う景色。地域の人からきめ細やかな説明があり、屋久島の風習や習慣などが知れた」と語った。

 視察を終え、田中部長は里めぐりが印象に残ったとし「奄美でリピートを増やし、複数泊につなげられるのでは」と期待。航路定着には「多くの人に利用してもらう必要がある。宮之浦港早着の対応や、島民向けの商品開発が必要でないか」と話した。