漂着物処理へ小型焼却炉

漂着物処理へ小型焼却炉

福富社長(右)が焼却炉のデモンストレーションを実施した

龍郷町設置、試験運転

 龍郷町生活環境課は13日、海岸漂着物等処理のための小型焼却炉を設置し、その試験運転を実施した。設置した小型焼却炉は、㈱トマス技術研究所(沖縄県、福富健仁社長)が設計・開発した「チリメーサー・TG―49」。重油と同じ成分のタイヤも適正に処理でるとあり、関係者は「漂着油に限らず海岸漂着物の処分も進む。環境保全の観点からも大きな貢献となるのでは」と期待を寄せている。

 同チリメーサーは、幅1×奥行1・8×高さ3・6㍍で車1台程度の面積で設置でき、処理能力は、混合雑芥で1時間45㌔以下、廃プラスチック類で1時間10㌔以下に対応。炉内の燃焼効率を高める独自の燃焼制御システムが同社の誇る特許技術となり、同技術をベースに製作したTG―195は06年に環境省地球温暖化防止活動で環境大臣賞(技術開発・製品化部門)を受賞している。

 同機の最大の特徴は、ほぼ全ての廃棄物で完全燃焼させて煙を出さずに処理できる点にあり、重油と同成分のタイヤも適正に処理。ダイオキシンを800度以上の熱で分解することで日本の排出規制値の50分の1程度に抑制。焼却灰もほぼ100分の1に減量化できる。

 また同機は、沖縄県の各自治体や海外でも導入が進んでおり、現在、天城町や与論でも試験運転を実施。奄美市名瀬出身の福富社長は「少しでも島のためと思い一年間の無償提供を申し出た。ぜひ役立ててほしい」と話した。

 この日は、町長や役場関係者、龍北中生徒らを前に福富社長が焼却炉のデモンストレーションを実施。一般廃棄物と重油を含む廃棄物との燃焼・排煙を比較し、その効果をプレゼンテーションした。

 竹田泰典町長は「これまでは(漂着ゴミを)県の事業で処理してきたが、少しでも自前で出来ればとの思いで取り組んだ。今後は一年間の試験運用を踏まえ、町民や議会にはかりながら導入の検討を進めたい」とした。