大型公共工事の影響で引っ越しに使用できるコンテナが減り、キャンセル待ちとなる運送業者もある
3月下旬から4月中旬にかけては引っ越しシーズン。(公社)全日本トラック協会が発表した「引越混雑予想カレンダー」によると、特に混雑が予想されるのは24日から来月8日までとなっている。繁忙期を前に奄美群島でも引っ越し業者社員が見積などに奔走する日々が続く。一方で人手不足などの課題もあり、すでに3月中の受付を終了しキャンセル待ちの状態が続く事業者もあるという。「引っ越し難民」は対岸の火事ではないようだ。
奄美市名瀬の運送業者の担当者は「8日には3月中の受付を終了した。今はキャンセル待ちの状態」と話す。しかし、受付件数は例年の半分以下。この要因は「コンテナ不足」と「人材不足」にあるという。
同担当者によると、今シーズンは島内で大型公共工事が行われており、資材類を輸送するためにコンテナが大量に使用されている。この影響で引っ越しに使用できるコンテナは少なくなっており、受付を断らざるを得ない状況にあるという。同担当者は「キャンセルの電話が来ることもあるが、正直ほっとしてしまう。お客様に迷惑をかけるぐらいなら断った方がましだ」とひっ迫した状況を語る。
人手不足も大きな問題だ。県職員や教職員の異動、これに加え進学、就職などが重なるこの時期に年間の引っ越しのほとんどが偏る。繁忙期と閑散期の仕事量に大きな差があるため、正社員の雇用は困難だ。
同社では港湾での作業を担当する社員を集荷などに回すほか、特に件数が多くなる時期には派遣会社を通じた人材確保を行うが、梱包作業などを利用客に任せる場合も少なくないという。同担当者は「4月に入れば、件数が減り、島外から島内への引っ越しで使用可能なコンテナが増えるので、受付は可能になる」と時期をずらすことも推奨している。
同市内の別の会社では前年と同程度の受付状況だというが、作業員数は数年前から減少傾向だという。「教職員の引っ越しのように、地域住民が手伝って行うものであれば対応できるが、遠隔地で3~4人必要な引っ越しなどは無理な場合もある」と担当者。また、指定された日時の対応ができない場合もあり、日時変更を提案することもあるそうだ。
コンテナ不足に関して担当者は「聞いてはいるが、受付を終了する段階にはない。件数が多くなる見込みがある日に関しては需要増加を船会社に伝えている状況」と語った。島外からの引っ越しについては「正式な辞令が出ていない場合が多いようで、まだ配送依頼などは来ていない。来週以降増えるのではないか」と予測している。