低糖度影響も自慢の「純黒糖」

低糖度影響も自慢の「純黒糖」

搾りたてのキビ汁を煮詰める作業(25日、徳南製糖)

県外の老舗メーカーに納入
伊仙町犬田布「徳南製糖」

 今期産の徳之島のサトウキビは、記録的な低糖度が続く。半世紀に渡って、「純黒糖」にこだわる「徳南製糖」=伊仙町犬田布=もその影響を受けつつも、白い湯気と甘い香りが漂う工場で、熟練工らが自慢の生の純黒糖づくりにいそしんでいる。

 親子2代で経営する徳南製糖の黒糖は、熟練工たちの手で、サトウキビの搾り汁のみを煮詰める純黒糖。製品の大半は、契約出荷を続けて50年以上になるという県外の菓子メーカー「那智黒総本舗」に納入。同メーカー(和歌山県)は、1877年(明治10年)の創業で、黒あめやかりんとう、羊かんなどでも知られる老舗企業。同社向けの出荷袋には、出来たばかりの純黒糖が次々と詰められた。

 今期産の徳之島のサトウキビは、台風による潮風害で記録的な低糖度が続いた。「昨年に比べて約2~3度低くなってしまっている」と徳南製糖の南郷秀一さんは話す。

 今期の商品生産の進捗は、ほぼ9割に達しているという。こだわり続けている味について、南郷さんは「火力に薪を使い、灰汁取りを丁寧に行うなど昔ながらのやり方で、高品質な純黒糖を提供している。(今期は)3月いっぱい頃までだろう」と語った。