サトウキビ現地調査を受け次年度産に向けた特別対策やセーフティネット基金の運用改善などが決定した(今期の収穫作業・資料写真)
昨年の台風による潮風害で低糖度となっている鹿児島県のサトウキビについて農林水産省は28日、現地調査を踏まえた今後の方針を決定した。2017年度補正予算を活用し土づくり、新植・補植などの特別対策や、セーフティネット基金(さとうきび増産基金)の発動要件に低糖度を追加し運用改善するなどとした。
自民党の宮下一郎衆院議員を団長とする甘味資源作物現地調査団は2月24日、徳之島で低糖度被害の実態調査や生産者代表との意見交換会を実施していた。また、3月には種子島でも行っている。現地調査を受け28日、自民党関係議員と農水省などは野菜・果樹・畑作等対策委員会を開き、次年度対策の支援や低糖度対策等について協議して方針が決定された。
今後の対応は、▽特別対策の実施▽セーフティネット基金の運用改善▽低糖度の要因解明▽生産性向上を図る基盤整備の推進―など。特別対策では17年度補正予算から約2億円を計上し、次年産に向けた土づくり、新植・補植、かん水作業対策など支援する。
セーフティネット基金は従来の要件である単収10%以上の減少などに加え、低糖度に対する発動要件を新設。速やかに低糖度対策を発動できるようにして、台風などの自然災害の影響を引きずらないために県の事業計画の運用も改善する。
台風などの環境要因や、品種構成、栽培管理などの人的要因から低糖度の原因を解明し対策を検討。徳之島では、他の作物に使われることから堆肥不足になりがちで、鹿児島本土などからの移入運賃の助成も検討するという。
先月の現地調査に参加し、この日の会議に出席した金子万寿夫衆院議員は、農水省の方針に対して「現地視察をして現場の強い意見を聞いて、農水省もすぐ動いて対応してもらった」と評価。今後に向け「増産含めて意欲持って農家自身の努力が必要だろう。持続的に後継者に引き継げる基盤を固めていく必要がある。地元議員として全力を尽くしたい」と語った。