巡視艇「いそなみ」に女性船長

巡視艇「いそなみ」に女性船長

古仁屋海上保安署・巡視艇「いそなみ」の船長に就任した冨永さん

第十管区で初 「女性だからと気負いせず」

 古仁屋海上保安署の巡視艇「いそなみ」(100㌧、11人乗組)に第十管区海上保安本部初の女性船長として冨永真生さん(30)が、1日付で就任した。9日、管内パトロールで奄美市の名瀬港を訪れた冨永さんは「女性だからということを意識することもないし、特に気負いもない。船長は学生時代からの一つの目標だったので、背筋が伸びる思い」と語った。

 冨永さんは熊本県熊本市出身。幼いころから家族旅行で天草を訪れていたこともあり、海が好きだったという。また、「市民を守る仕事に就きたい」という思いも強く海上保安官を志した。2011年3月に海上保安大学校を卒業した後、12年3月からは函館海上保安部で巡視艇「つがる」の主任航海士として2年間勤務。14年以降は海上保安庁で勤務し、現場に出るのは4年ぶり。本庁勤務時代にはスウェーデンの世界海事大学に留学していたこともあり、国際的な海上安全、環境防災事情にも精通する。

 冨永さんは「いそなみには若い乗組員が多いので協力しながら、さまざまな業務にまい進し、まずは慣熟したい」と意気込む。船長に求められる資質については「判断力」を挙げ、「海難の未然防止に関する啓発活動を行い、発生時には適切な対応ができるようにしたい」と話した。赴任を機に初めて奄美を訪れた冨永さんは、まだ休日を楽しむ時間はない様子。今後の休日の過ごし方について「すぐ近くにきれいな海があるので眺めたり、季節になればダイビングなどもしてみたい」と笑顔を見せた。

 奄美海上保安部の安尾博志部長は「国際的な能力も高いようなので、観光客や外国船への指導など、能力を生かしてもらえれば」と期待を語った。同保安部によると、第十管区内24隻の巡視船・巡視艇の中で、女性船長は冨永さんが初。18年4月現在、全国でも3人しかいないという。