「大和城」観光地連携整備事業で整備された遊歩道ルート(案内看板、天城町提供)
大和城山頂の戦争遺跡(戦闘指令所跡・トウチカ)
安全面にも配慮された登山道階段
【徳之島】天城町が、奄美群島成長戦略推進交付金事業で2013年度から推進中の観光地連携整備事業では新たに、希少動植物が生息する常緑広葉樹林に中世史跡や第2次世界大戦の戦争遺跡も包含した「大和城(やまとぐすく)」(同町天城)に、世界自然遺産登録も見据え、自然林散策型の遊歩道などが整備された。
「大和城」は標高251㍍。山頂には中世期の按司(あじ)居城の山城とされる石垣群があった。第2次世界大戦時は、戦局悪化による米軍上陸に備えて旧日本軍(奄美守備隊・独立混成第64旅団)の戦闘指揮所の構築で破壊され、現在はコンクリート造のトーチカが残存。中腹には軍人山寺の祭場も。自然環境にも恵まれた山頂からは東シナ海や町内が一望できる。
町商工水産観光課によると、17年度大和城観光地連携整備事業初年度・17年事業(総事業費約3700万円、国50%・県10%補助)は昨年6月に着手。登山道階段と大和城頂上(第1展望所)―尾根伝い第2展望所を結ぶ遊歩道約720㍍をはじめ植栽、手すり、自閉式扉、案内板、道標、ベンチなどを先月下旬までに整備。一般開放を始めた。
同課によると、大和城観光地連携整備は引き続き約5年計画で入口へのトイレ棟設置、旧「彫刻の森」への駐車場整備、桜植栽、ため池を活用した景観デッキ兼休憩所の設置などを推進。自然遺産観光関連のトレイルコースや町民憩いの場づくりを進める。
同町の観光地連携整備事業は、13年度から3年継続で町南部の景勝地「犬(いん)の門蓋(じょうふた)」の展望台復元や遊歩道改良整備、転落防止柵の改良整備を実施(総事業費約8220万円)。16年度は町北部の景勝地「ムシロ瀬」=いずれも奄美群島国立公園=に「見晴らし展望デッキ」や遊歩道などを整備。年次的計画で着々と自然遺産観光の受け皿づくりを進めている。