クロウサギの輪禍が相次いでいる農道。円内は『白たび』模様の後ろ足先(池村さん提供)=9日夜、徳之島町母間
【徳之島】徳之島町母間の農道で9日夜、国指定特別天然記念物アマミノクロウサギ1匹の死骸が見つかった。交通事故死と見られ、この3、4年間に同エリアのみで計3件・3匹目の続発となった。島全体でも今年に入りこれで3件・3匹。環境省はドライバーへの啓発強化策を検討するという。
同地の山手側を南北に縦断する農免農道を通行中の一般ドライバーが午後10時ごろ見つけ、連絡を受けた県希少野生動植物保護推進員の池村茂さん(61)=同町母間=が確認・回収した。体重約3・3㌔、体長約35㌢もの成獣。顔の左側を激しく損傷しており、死後硬直が始まってないことから、同9時半ごろ車両にはねられたと見られる。
池村さんによると、同エリアではこの3、4年来だけで計3件・3匹目の交通事故(うち重傷で救護の1匹はその後平川動物公園で滅失)が発生。ルート上には「クロウサギ注意」を呼びかける夜光反射型の看板(環境省)や児童生徒らの標語看板も設置済み。池村さんは「ノネコ対策でクロウサギの目撃例が増えたと喜んでいた矢先に残念。今回犠牲になった個体は、後ろ足先に白い毛が混じった珍しい『白タビ』の一族とみられる」と悔やんだ。
環境省徳之島自然保護官事務所によると、同島内でのクロウサギのロードキル(輪禍)による滅失確認件数は2015年はゼロだったが、16、17年はいずれも8件(匹)に急増。今年も早くも3匹のペースとなり、沢登良馬自然保護官(27)は「ドライバーに注意を呼びかける啓発看板に加え、啓発チラシの作成・配布なども強化。来島者などレンタカー利用者への啓発も検討したい」と危機感を募らせている。