長距離移動・アサギマダラ

奄美大島で誕生したアサギマダラはまもなく旅立ちの季節を迎える

新世代誕生旅立ちへ
北上ルート解明へマーキング呼びかけ

  日本列島を長距離移動するアサギマダラは、南西諸島で誕生した新世代がまもなく旅立ちの時期を迎える。奄美大島や喜界島では気温の上昇に伴い、5月の連休の後半にも北上するとみられており、南西諸島から本州への北上ルートを解明するためにもマーキング(翅=はね=に標識)活動への関心が求められそう。

 アサギマダラはタテハチョウ科で、チョウの中では大型の約10㌢(翅を広げた場合)の大きさ。1千㌔から2千㌔ほどの長距離を、海を越えて移動するとされており、水をはじく力を示す翅の撥水=はっすい=性の高さが、「驚異的な移動や寿命(成虫寿命期間は約6カ月)を支えている」という見方もある。

 長年、アサギマダラの移動調査に取り組んでいる栗田昌裕さん=医師・群馬パース大学学長=によると、奄美や沖縄などの南西諸島では3月下旬~4月上旬にかけてサナギから羽化し新たな成虫が誕生。奄美市住用町では河川沿いなどでムラサキカッコウアザミ、スイゼンジナ(ハンダマ)など吸蜜植物の花の周辺を、あさぎ色(薄青色)のまだら模様がみずみずしい誕生したばかりの新鮮なアサギマダラが飛び回っている。

 栗田さんは「東北地方では22~26度などアサギマダラが好む温度があり、南西諸島では25度を超すと移動する。奄美大島からの北上は来月上旬にかけてになるのでないか」と語る。奄美大島からの北上ルートは、東回り(九州の太平洋側―四国―本州)が想定されているが、北上の際の吸蜜植物はスナビキソウくらいのため、ルートが解明されていない。

 また、秋の南下より移動の速度が速いのも北上の特徴で、10日前後で南西諸島から本州へ移動した例もある。「1時間で20㌔と自転車並みのスピードで、5時間で100㌔とかなりの速さ。季節風が影響しているのか謎であり、北上のポイントであるスナビキソウの自生地が少ないのも途中経路の解明を難しくしている」(栗田さん)。スナビキソウの群生地として知られるのが周防灘に浮かぶ大分県姫島。姫島には、毎年春から初夏にかけて南西諸島から飛来し、本州方面へ向かうルートとなっている。

 ルートを解明する方法がマーキング。奄美は旅立ちの場所だけに、栗田さんは「奄美大島でもマーキングに関心を持つ人が増えてほしい」と呼びかける。マーキング個体数が増えたら、全国にいる愛好者によって再捕獲される確率が高まり、それにより北上の移動ルートや日数(アサギマダラを調べる会の情報で確認可能)が明らかになる。