菊次郎、菊草、愛加那に光

菊次郎、菊草、愛加那に光

特別企画展「西郷隆盛と菊次郎展」の貴重な資料を見学する来場者(上)、初公開された「菊池源吾」名で出された書状(下の右側)

「西郷隆盛と菊次郎展」開幕
龍郷町りゅうがく館 初公開など貴重な歴史資料展示

 龍郷町文化財展示室特別企画「西郷隆盛と菊次郎展~敬天愛人に繋がる親子の絆」(町教育委員会主催)が20日から、町生涯学習センターりゅうがく館文化財展示室で開幕した。西郷隆盛が龍郷で過ごした3年間を中心に県内外から集めた隆盛、菊次郎らゆかりの貴重な資料を展示、初公開資料もある。来年2月3日まで。開館時間は午前9時~午後5時。観覧無料。龍郷は西郷隆盛、愛加那(龍愛子)、菊次郎、菊草(大山菊子)のゆかりの地。主催者は多数の来場を呼び掛けている。

 開幕に合わせて開催式典がりゅうがく館玄関前であり、町議、教育委員、区長、志塾西郷塾メンバーら約50人が出席。碇山和宏教育長は主催者あいさつで「龍郷で生まれた菊次郎にも光を当てていきたい。癒しの島、慈愛の島である龍郷町から『敬天愛人』につながる親子の絆のメッセージを送る特別展にしていきたい」と述べた。竹田泰典町長ら5氏がテープカットし、くす玉開きを行った後、出席者は特別企画展会場を見学した。

 初公開の資料は、龍郷時代の西郷隆盛が変名の「菊池源吾」の名で記した書状。「猪籠りの菊池源吾書状」は、掟役という村を管轄するシマ役人であった宮登喜をイノシシ狩りに誘ったときの書状だという。専門家によると、菊池源吾の名で出された書状が、奄美大島で発見されたのは初めてとしている。この書状は奄美市名瀬の吉国好氏(故人)宅で所蔵していたもので、今年親族から龍郷町へ寄贈されたもの。

 今回の企画展限定公開として、菊次郎愛用のカバンを展示、親族が貸し出し協力した。拓殖大学所蔵の菊次郎のパスポートなども展示している。鹿児島市立西郷南洲顕彰館などが展示品貸し出し、複製に協力した。

 「西郷隆盛の軌跡」の1番目のパネルにはかかわりのあった人々の写真や名前を記し、①西郷家の長男誕生②君主斉彬との出会い そして別れ 活躍と挫折③西郷の人生を変えた龍郷での暮らし④ふたたび南島へ 過酷な牢生活と思想の深化⑤倒幕に向けて京都へ 激動の日々が始まる⑥軍略家西郷の手腕 幕藩体制を打倒する⑦私学校設立と西南戦争―のタイトルで時代別に動きを紹介。計8パネル作成。隆盛の生涯年表、年齢も記す。

 「菊次郎の軌跡」1番目パネルにもかかわりのあった人々の名前や若き菊次郎の写真を掲載。それ以外のパネルタイトルは①龍郷で過ごした幼少期②広がる世界 鹿児島・東京・アメリカへ③菊次郎の西南戦争④士官への道のり 心ある人に支えられて⑤希望の大地アメリカへ⑥宜蘭庁長西郷菊次郎(台湾時代紹介)⑦百年都市をめざして(京都市長時代の紹介)⑧全ての人のために敬天愛人の実行者。菊次郎の役人や政治家としての功績などを取り上げ、計9パネル展示。アメリカ留学前の12歳の写真もある。

 「菊草の軌跡」を2パネル展示し、これまで発見できなかった菊草の写真も展示されている。「愛加那の軌跡」パネルも展示。

 川元美咲学芸員が展示品の説明を行った。

 主催者は「激動の時代を送った西郷隆盛。しかし、龍郷での3年間は心穏やかに過ごしたであろう。貴重な資料を通して『敬天愛人』の思想につながる彼の人生をひも解いていく。龍郷町の魅力を発信する機会になれば幸い」とPRしている。

 大阪から観光で来島した女性4人は見学後「菊次郎さんのことがよく分かり良かった。ガイドの説明がとても面白く、明治の時代や、いろんなことを知ることができた」と話した。