完成・開所した徳之島町機能性植物加工センターで、産学連携や協力会社代表者たち=21日、同町母間
【徳之島】徳之島町が国の地方創生拠点整備交付金で建設した「同町機能性植物加工センター」(同町母間)の開所式が21日あった。産官学連携の共同研究で多様な機能性が認められている「アマミシマアザミ」を島内の生産組合が栽培。それを健康食料品の原料用に乾燥・粉末化して中国に出荷している㈱ヘルシーアイランズ(本社・同地、藤山尚二郎代表取締役)に施設を貸与した。
町農林水産課によると、長寿の島・奄美群島固有の機能性植物資源を農業や健康食品などと連携させ、琉球大学との連携で機能性が確認されたシマアザミなど在来植物の高付加価値化・商品の開発・販売の確立が目的。場所は同町母間の町農産物加工センター敷地。
規模は延べ床面積214・5平方㍍。原料の確保・洗浄・乾燥など1日当たりの処理能力約900㌔。機器を含む総事業費は5619万2400円(国補助50%)。㈱ヘルシーアイランズと今年度から20年間の貸与契約を結んでいた。
開所式には産官学の各代表やヘルシーアイランズ協力会社、シマアザミ生産組合(福岡輝男組合長・40人)代表など関係者約60人が出席。高岡町長は「機能性食品の第一歩が進んだことに感謝。一番難しい販売ルートがしっかりと確保され、多くの期待が寄せられると思う。今後もモノづくりで雇用を生み、人材育成に努めたい」と強調。
施設概要の説明に続き協力会社▽日本ランチェスター工業㈱(新垣健代表取締役)▽農業法人・与那国薬草園㈱(杉本和信同)▽HUNTOKEY・JAPAN㈱(羅誠同)▽㈱肝腎産業支援機構(小泉晨一同)などを紹介。
研究面で連携する琉球大学の屋宏典副学長は「今後は、製品をしっかりと作って安定供給することが事業の成否を決める。今日が出発点。販路があることは奄美にとって千載一遇のチャンス」とも強調。シマアザミの機能性評価ではこれまで①健康促進効果のあるポリフェノール濃度が高い②同主成分には抗肝障害作用や鎮痛作用をもつペクトリナリンと抗肥満作用③健康に良いとされる「α‐リノレイン酸」④抽出物は脂肪酸合成を抑制、脂肪肝を予防する作用―などの存在・効果を挙げている。
ヘルシーアイランズでは今年2月、中国の世界的電子部品メーカーHUNTOKEYグループを通じ同国内で販売を開始したという。アイランズの藤山社長(60)は「元々は奄美機能性食品研究会から始まった。この徳之島からスタートして奄美ブランドを作りたい。HUNTOKEYさんの評価もいただき世界にも発信できる。奄美全体で取り組める素材」と期待を示した。
生産組合の現栽培面積は約7㌶、年間の生産量は約200㌧。生葉の買い取り価格は1㌔当たり130円(自己持ち込み150円)。春・秋の年2回収穫、10㌃単収は「台風・塩害も強く2㌧以上」が見込めるという。