今度は外来生物で自主勉強会

徳之島建設業協会が自主開催した自然保護講演会=25日、同建設会館(徳之島町)

「島の宝は、島ん人で守ろう」
徳之島建設業協会

  【徳之島】徳之島建設業協会(酒匂源寶会長、67事業所)は25日、環境省自然保護官とNPO法人関係者を講師に招いた「徳之島自然保護に関する講演会」を同建設会館(徳之島町)で開いた。今回は、人類共通の宝・世界自然遺産登録への課題「外来生物」に焦点を当て基礎知識、工事中の駆除の仕方、拡散防止の意義などを積極的に学んだ。

 徳之島建設業協会はこれまでも複数回、奄美群島国立公園指定や世界自然遺産登録に関する会員対象の講演会・勉強会を自主開催。今回は▽環境省徳之島自然保護官事務所・沢登良馬自然保護官「世界自然遺産登録に向けて~島が抱える外来生物問題」▽NPO徳之島虹の会・美延睦美事務局長「外来植物駆除に関する取り組みについて」で講演。事業者や施工管理者など約60人が熱心に聴講した。

 沢登自然保護官(27)は、国立公園指定の意義や、5月ごろの世界自然保護連合(IUCN)評価報告を経て、7月ごろ予想されるユネスコ世界自然遺産委員会(WHC)の登録可否の決定、登録基準や同島の依存固有種、登録への課題外来生物の現状、侵入方法などについても解説。

 特に、外来植物に関しては猛繁茂している「アメリカハマグルマ」(キク科)などの特徴や写真も提示。同島では確認されていない「ツルヒヨドリ」(特定外来生物)が今後侵入すると、「島の山を飲み込んでしまう」と懸念。種子吹きつけ(工事)にも注意を呼びかけた。駆除では①抜き取る・刈り払う②ゴミ袋に集めて天日干し③完全に枯れてから捨てる。枯らさないと、捨てた場所で増えてしまう。外来生物対策・予防三原則①入れない②捨てない③拡げないを強調した。

 虹の会の美延事務局長(55)は、会員事業所の人員や重機も動員した日ごろの環境保全ボランティア活動に感謝し、「皆さまと共に島の宝を守り未来へ。建設業協会なしでは取り組みが困難」。島内への外来植物の侵入経路では①園芸用観賞用の持ち込み②工事用資材の購入③島外からの貨物紛れ込む―など推測。

 その上で「道路の草刈りは希少種に要注意を。工事や除草、除草剤散布は徳之島地区自然保護協議会に相談を」。そして「島の宝は島ん人(ちゅ)が守る。連携・協力と、役割分担が重要です」と協力を求めた。

 同協会では今後バスを仕立てて島内の希少植物分布や外来植物の繁茂エリア、不法投棄現場などの現地視察も検討するという。