奄美市笠利町の奄美空港前には、レンタカー各店が軒を連ねる
4日未明に出された、奄美・沖縄世界自然遺産の登録延期勧告。「えっまさか」「衝撃だった」―地元関係者多くから、動揺を隠せない表情が垣間見えた。LCC就航などを背景に、近年奄美群島を訪れる人は右肩上がりで増えている。更なる来島者増加を期待して、夏頃の世界自然遺産登録を待望する声は多く、登録後を見込み、受け入れ体制の充実を図ったレンタカー社などもあった。今回の登録延期勧告について、宿泊施設なども含め観光関係者の受け止めに迫った。
ゴールデンウィーク最終日の6日、忙しさのピークを越えた、奄美大島北部のホテル関係者が「不意打ちされたようだった」と苦い表情で語った。宿泊客に「世界自然遺産に登録されるでしょう…」とPRすることも多かったという。
別のホテル関係者は「衝撃だった」、「ほぼ『決定』だろうと…」。近年の好調な宿泊状況も踏まえ、登録への期待はGW前に一段と高まっていた。奄美市名瀬のホテル関係者も「残念だった」と肩を落とした。
登録が見送られたことによる今後の影響について、「ツアー本数も増えてきていたが、9月以降どうなるのか…」「団体ツアーのお客さんの減少が懸念される」「今年は予約が埋まったが、来年夏以降はどうなるのか…」。宿泊客数の影響を心配する声が各所から聞こえた。
奄美大島の空の玄関口、奄美空港周辺には、10社ほどのレンタカー各店が軒を連ねる。近年の活況な利用状況に、登録後の影響も加味して保有台数を増やす計画があったという企業の担当者は「えっまさか…」と振り返った。
別のレンタカー店でも、利用客増加を見込み、昨年10月から保有車の台数を、段階的に50台増やし、約300台の保有体制にしていたという。
奄美群島を取り巻く航空事情を見れば、航空各社も今夏の自然遺産登録に大きな期待をかけていたことは間違いないだろう。JAC(日本エアコミューター)は、7月1日から「奄美群島アイランドホッピングルート」と称し、徳之島~沖永良部~那覇線を新規開設する。
また、スカイマークは8月から、鹿児島と名古屋・奄美大島を結ぶ路線を就航する予定。登録延期の勧告による影響などは、各社とも「現在のところない見込み」だという。
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各宿泊施設、レンタカー各社の関係者ともに、登録延期の勧告に衝撃を受けたことに変わりないが、一方でこれからの登録を見据えた声も聞かれた。「魅力ある島であることには変わりない。さらにPRしていく」、「本来の奄美らしさを見直すきっかっけに」、「インバウンドの受け入れなど、まだ足りない部分がある、行政民間でしっかり連帯していきたい」。