奄美基金第2回WG

奄美基金のワーキンググループの第2回会議=国土交通省国土政策局会議室

コンサル、アドバイス役割を
「寄り添い踏み込んで」

 【東京】国土交通省は9日、国土政策局会議室で第2回奄美群島振興開発基金の役割の検証に関するワーキンググループ(大川澄人座長・ANAホールディングス㈱常勤監査)の会合を開いた。同会合での検討結果は5月17日の奄振審議会に提出されるもので、報告と意見交換が行われ、参加した伊集院幼大島郡町村会会長は「「住民に寄り添い、農業支援などもっと踏み込んで」との注文をつけつつ、財政経済のアドバイスは「我々、行政も関わっていかないといけない」と自らの役割についても言及した。

 議事では、①奄美群島振興開発基金2016年度実績評価②奄美群島の経済状況・金融情勢③奄美群島振興開発基金の役割の検証に関するワーキンググループ検討報告案―についての協議が行われた。

 ①については四段階の下から2番目のB評価が最多。リスク管理体制の充実・強化や、財務内容の改善に関する事項では保証業務や融資業務で目標の達成は容易ではないことから難易度「高」のC評価となっている。

 有識者からは「リスク管理体制の強化と地域経済振興をどう両立させるかが経営課題だが、企業への経営コンサルタントとしての役割を発揮、企業と自治体と基金の三者体制をさらに強化して」との意見も。

 また、出資業務に関しては、1989年に制度創設後、活用事例がなかったため2006年に廃止となったことから、今後5年間で出資制度の機能充実検討があげられていると説明。「出資の有無に関わらず経営アドバイスできる環境づくりを」との西みやび委員からの意見に「HPなどでPRしたり、地道に話しかけやすい環境づくりをしているので利用して欲しい」との回答も。

 また、大川座長は「従来の農業出資支援を行っているが、配当が得られるように時間をかけてもやって行った方がいい」と出資へのアドバイスも。

 今後の方針を問われた同基金の林浩一理事は「具体的に足元の需要喚起を行っていきたい」と話し、国交省からは、足元を見ながら引き続き、新たな振興策を期待するなどの意見が出された。

 同報告案の結びには、奄美の誇る地域資源と関係者の精力的な取り組みは「『奄美発のイノベーション』を国内外に発信していく大いなる可能性を秘めている。奄美基金がネットワークと重層的な連携を実現して積極的に寄与することを期待する」とされている。